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【第22回】憤りを超える憤り

 2008年12月13日 
 キルギスには、男性が気に入った女性を数人でかっさらい、自宅へ連れていってその場で結婚式を挙げてしまう、という「嫁泥棒」という古くからの風習があります。もともとは近い者同士の結婚で血が濃くなることを避けようとする遊牧民族の風習なのですが、私が去年まで受け持った18歳の教え子が「嫁泥棒」に遭ってしまいました。
 彼女は昨年、村の中等学校を卒業し、今年から首都の大学で中国語を勉強していました。語学が得意な聡明な女性で、将来は観光に関する仕事に就きたいと一生懸命勉強していました。
 嫁泥棒には2種類あって、まったく見ず知らずの男性に連れ去られるケースと、付き合っている彼に連れ去られるケース。彼女の場合は後者ですが、「結婚は大学を卒業してから」と約束していた彼に裏切られ、大きなショックを受けているはずです。
 法律ではすでに禁止されている犯罪行為ですが、いまだに公然と行われ、大抵は女性の泣き寝入りだそうです。娘を盗まれた母親たちは「これが私たちの習慣だから」と怒りややりきれなさを飲み込むのですが、私はあまりのいたたまれなさにどうしても理解することはできません。誰も彼女の気持ちを推し量ろうとしないのですから。
 自分たちでも「本当はよくないこと」とわかっているのに止まない「悪しき習慣」。女性が、「いやだ」と言わない限り、若いときに同じ目に合って泣いた母親たちが声を上げない限り、変わらないのだと思います。
 外国人である私の怒りはむなしく響くように感じることもありますが、しがらみのない外国人だからこそ、言えることがあるとも思っています。
   * * *
 ▽伊藤寛子さん=赤穂西中学校出身の26歳。国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員として平成21年6月まで中央アジア・キルギス共和国に2年間の単身赴任中。「ジュジュ」(キルギス語でひよこ)は現地でのニックネーム。
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掲載紙面(PDF):
2008年12月13日(1826号) 4面 (7,334,444byte)
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