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赤穂の昔話・第37話「きんこん坊主」

 2022年07月16日 
 今から約200年ほど前のことです。うす汚い身なりの旅の坊さんが石ヶ崎にやって来ました。

切り絵・村杉創夢


 話を聞くと長崎からの帰りだそうで、村人たちは観音様をまつってある恵照庵でもてなしました。

 この坊さんは「きんこんさん」と呼ばれ、子どもたちに読み書きを教えたり、遊び相手になったりして慕われました。

 ある日、きんこんさんはお城から迎えに来た馬に乗って出掛けると、七日目ににこにこしながら帰ってきました。

 「お城のふすまに絵を描いて、お礼にお金をたくさんもらってきたんだよ」と言いました。

 明くる日、きんこんさんは村の舟大工に小舟を注文しました。小舟が出来上がると、きんこんさんは貝掘りや魚釣りを始め、とうとう漁師と変わらない暮らし方をするようになりました。村人たちは殺生坊主にあきれ果ててしまいました。

 そのうち、きんこんさんは大きな船を新しくつくり、新しい帆を買い入れました。たまたま、岡山の城下で大きな催しごとがあり、きんこんさんは村の子どもを十人余りも船に乗せて、それを見に行くことになりました。子どもの親たちは反対しましたが、夜中にこっそり子どもたちを乗せて出発してしまいました。

 子どもを連れて行かれた親たちは、きょうは帰るか、きょうは帰るかと、毎日沖を見ていましたが帰ってきません。出発から明日で四十九日となり、親たちが泣く泣くあきらめて葬式の準備に取りかかっていると、子どもたちが元気に日焼けして帰ってきました。

 話を聞くと、どうも長門から伊予、讃岐と釣りをしたり、網を引いたり時には陸に上がって乞食をしたりなどして楽しく瀬戸内海を一周してきたようでした。

 しかし、村の人たちは承知をしません。

 「きんこん坊主は、ここから追い出せ」

ということになって、追い出してしまいました。(赤穂市教育委員会刊『赤穂の昔話 第二集』・「きんこん坊主」より)
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掲載紙面(PDF):
2022年7月16日号(2470号) 2面 (10,721,393byte)
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