赤穂民報

関福大・加藤明先生の「応援します!かしこい子育て・教育・介護」【第10回】(5月30日)

【それ恕か 己の欲せざる所 人に施すことなかれ(論語)】
 「私が生きていく間、これだけは大切にしなければならないということを一言で教えてください」
 このように聞かれたら、どう答えますか。
 絆、家族、生命、誠意、まごころ、正直、夢、仕事、友達、生きがい、時間、今、ここ、お金、理性等々、いろいろありますね。「あなたなら、何かな」と、子どもと話し合ってみるのもいいですね。これが正解、これしか正解がないなんてことはないですね。
 自分のこれまでの人生を一生懸命振り返って出てきた一言は、みんな正解です。そしてその一言が、個性の表れです。見方や考え方、価値観は違って当然。金子みすゞの言葉を借りれば「みんなちがって、みんないい」です。
 考え方や感じ方、価値観が自分とは異なる人間がいる。異なる個性が集まって、学び合い、高まり合うからこのクラスは素敵なんだ。担任の先生がこのように思っているクラスの子どもたちは幸せです(兄弟、姉妹も違っていて当然、だからうちの家族は素敵。そう親が心から思うことが子育てで大切です)。いじめなんて起こらないでしょうね。いじめは、見かけや生活、価値観が自分と違う存在を受け入れられない心の狭さから起こるものですから。
 私の勤めている大学では、キャンパスに多様な個性を抱えておきたい。そして学内だけでなく、地域との連携の中でコミュニケーション力とコラボレーション(協働)力を育てながら、ともに手を携え、支え合い、共に成長し合いながら生きていく喜び、手応えを味わわせたいと願って、地域連携のフォーラムを始め、いろいろな活動を企画し、実施していきます。
 さて、孔子の弟子の子貢(しこう)が、孔子に「一言にして、終身これを行うべきものはあるか」と聞いた答えが、「それ恕か 己の欲せざる所 人に施すことなかれ」なのです。自分がされていやなことは、人にしてはいけない。言い換えれば、自分がされてうれしいことを他の人にもすることです。ちなみに、赤穂市民病院の院是(基本方針)が、この「恕」(じょ)、思いやりなのです。(関西福祉大学・学長)

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