赤穂民報

偉人の筆跡にみる上郡文化(6月11日)

 上郡町にゆかりのある書家や歌人などの筆跡を集めた展示「上郡町の偉人たち」が同町釜島の紫雲山西光寺で6月12日(金)から始まる。
 かな書壇の重鎮として活躍した安東聖空を中心に約60点を紹介。主催の同寺は「郷土の隠れた偉人の存在を知ってほしい」と観覧を呼び掛けている。
 長年にわたって地元関連の史料収集に取り組んできた多田満之(まんし)住職(72)が同町合併60周年を記念して郷土史研究仲間とともに企画した。ほとんどが一般初公開の品だという。
 安東聖空(あんどう・せいくう、1893−1983)は船坂村梨ヶ原生まれで本名は正郎。姫路師範を卒業後、小学校で教鞭をとりながら近藤雪竹に漢字を学び、かなは平安期の古典を参考に独習した。大正14年に「正筆会」を興して会長となり、昭和4年に月刊書道誌『かなとうた』を創刊。かな書道界に多大な影響を与え、芸術院賞、文化功労者の表彰を受けた。
 今展では聖空が和歌をしたためた短冊や掛軸など28点を展示。書帖「ふゆのうた」は自作とみられる自由詩を連綿と記し、“かな文字日本一”と称された流麗な筆致が遺憾なく発揮されている。
 幕末に幕府側の陸軍奉行で戦い、明治維新後は新政府の下で日本の近代化に貢献した大鳥圭介(1832−1911)の書は掛軸と屏風の計6点。明治政府から釈放されて間もなく書いたとみられる漢詩は「苦心して迷い新たむ軍門の緯 義を唱へ将に振わん文武の風を」とあり、気持ちを切り替えて国家に尽くそうとする圭介の心情が表れている。
 その他にも、江戸後期の歌人、長治祐義(ちょうじ・すけよし、1770−1843)と弟子の隈川春雄・春蔭兄弟が書いた短冊、姫路市長を務めた原惣兵衛(1891−1950)の色紙、明治から昭和にかけて日本画を描いた牛尾光外(うしお・こうがい)の「虎図」など見どころが多い。
 「古くから交通の要衝だった上郡は人と情報の往来が活発で、文化人を生み出す土壌があったのだろう」と多田住職。「偉大な先人を知り、郷土を愛する心を芽生えさせてほしい」と話している。
 境内の門徒会館で6月16日(火)まで午前10時〜午後4時。観覧無料。Tel52・1064。

(西光寺で開催中の「上郡町の偉人たち」展)

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