赤穂民報

関福大・加藤明先生の「応援します!かしこい子育て・教育・介護」【第15回】(8月22日)

【やさしいことばがやさしい心を育てる】
 ひとつのことばでけんかして
 ひとつのことばでなかなおり
 ひとつのことばで頭が下がり
 ひとつのことばで心が痛む
 ひとつのことばで楽しく笑い
 ひとつのことばで泣かされる
 ひとつのことばはそれぞれに
 ひとつの心を持っている
 きれいなことばはきれいな心
 やさしいことばはやさしい心
 ひとつのことばを大切に
 ひとつのことばを美しく
 (作者不詳、北原白秋作という説あり)
 私が大切にしている文章の一つです。今学校教育では国語だけでなく、全教育活動を通してことばの力を育てることをめざしています。
 ことばの力とは、具体的には、話す、聞く、読む、書くの力です。話す、聞くは音声によるコミュニケーション、ことばの直接的なやりとり、ことばのキャッチボールです。相手の心をことばで受け取って、こちらの心をことばで返す。そしてお互いを理解し合う。やさしいことばでやさしい心を伝え、きれいなことばできれいな心を伝える。穏やかなことばで穏やかな心を伝えるのです。
 けなされて育つと、子どもは人をけなすようになる。ほめてあげれば、子どもは明るい子に育つ。やさしく思いやりをもって育てれば、子どもはやさしい子に育つ。これは「子は親の鏡」(ドロシー・ロー・ノルト、レイチャル・ハリス、石井千春訳)からの引用ですが、子育ての秘訣がここにありそうです。
 つまり、どんな心や思いをこめてことばをかけているか、一つひとつのことばに込められた心や思い、願いが子育てを方向付けるということです。「育てたように子は育つ」とは言い得て妙だと思います。
 ことばの力は、話す、聞くだけでなく、読む、書くもあります。こちらは、ことばを文字に表しての文字言語によるコミュニケーションですが、思考、認識の力を育てるものでもあり、なかでも特に「書く」に力を入れています。ノート指導が強調されている理由がここにあります。
 このような話す、聞く、読む、書くといったことばの力、技能もこれだけでは不十分で、それらの基盤としての感性や想像力、論理力、語彙(ことばの数)、文法の支えがあってこそ、効果的な育成になります。やさしいことばによってやさしい心を伝え、やさしい心を育てることは、基盤を形成しながらことばの力を育てる効果的な方法でもあるのです。(関西福祉大学・学長)

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