赤穂民報

「忠臣蔵の本質死守した」紀里谷監督インタビュー(11月16日)

 忠臣蔵をベースにしたハリウッド映画『ラスト・ナイツ』が14日公開。作品を手掛けた紀里谷和明監督(47)が赤穂民報の単独インタビューに応じ、作品や忠臣蔵への思いを語った。
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−なぜハリウッドでの製作を選んだのか
 「これだけのキャスト、予算スケールの作品を作るのは日本では不可能。それに、どうしても世界の人々に作品を見ていただきたいという思いもあった。そのためにはハリウッドの配給システムに乗せる必要があり、他に選択肢はなかった」

−作品の見どころは?
 「日本の武士道の本質をどのように世界に伝えているか、というところを見てほしい」

−世界各国から集まったキャストに、どのように「武士道」を伝えたか?
 「役者陣には『武士道』の説明を一切していない。ヨーロッパなら騎士道、アメリカなら愛国心といったように、それぞれの役者が自分の国にあてはめて考えてくれた。その精神は共通するものがあると僕は思ってる」

−作品づくりで最もこだわったところは?
 「国も時代も、あえて架空の舞台を設定したが、忠臣蔵の本質は死守したつもりだ。それと、観客の意識と視線が物語と役者の芝居に集中するように、できるだけ見せ方をそぎ落とした」

−本作は映画監督としての自身のキャリアで、どういう位置付けになるか
 「第二の処女作」

−監督にとって「忠臣蔵」とは
 「特に忠臣蔵マニアということではないが、一般の方と同じように、子どものころから映画やドラマで目にし、そのストーリーが自然と体に入ってきている。ただ、私の祖父が太平洋戦争で大本営の玉砕命令を無視して部下を全員日本に連れ帰り、自分だけ切腹しており、その精神は染みついているのかも知れない」

−公開までに泉岳寺、花岳寺など義士ゆかりの地を訪れた
 「作品の構想からこの5年間、私は『大石内蔵助』という人物のことのみをずっと考え続けてきたと言っても過言ではない。その大石さんをはじめ四十七士のみなさんへ報告したかった。吉良上野介さんのお墓にも参らせていただいた」

−「赤穂浪士の討ち入りはテロだ」との見方をどう思うか
 「すべての行動には理由がある。その理由は何なのかを問わずに表面的な現象だけを見ると、そうなるかも知れない。そこにある精神は何だったのかを考えるべきだ」

−「忠臣蔵」を廃れさせないために何が必要か
 「それぞれの時代や国で世の不条理に対して立ち向かう英雄が現れる。マハトマ・ガンジーであり、キング牧師であり。赤穂義士もその一つだ。人は正しいことに筋を通す美しさにひかれる。形ではなく精神を踏襲していけば、廃れるはずがない。だからこそ、この作品も国境を越えて受け入れられると信じている」
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◎作品紹介=腐敗した権力がはびこる架空の封建国家を舞台に、高潔がゆえに落命した主の仇を討つ騎士たちを落ち着きのある映像美で描く。クライブ・オーウェン、モーガン・フリーマンといった名優をキャスティングした話題作で世界30カ国で公開。プラット赤穂シネマでも好評上映中。

(作品や忠臣蔵への思いを語った紀里谷和明氏)

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