赤穂民報
関西福祉大学リレーコラム・大切なことを学び直す(4)(2月27日)
―「弱さ」について―
「神様、与えてください。変えられないものを受け入れられる静穏な心を、変えられるものを変える勇気を、そして、この2つを見分ける賢さを」
これは「ニーバーの祈り」といわれる言葉です。人は誰でも、変えることのできない「弱さ」をもっています。そして、そうした弱さを短所、「ない方がいいもの」と捉えています。しかし、そうでしょうか?
「弱さ」について、ホームレスやいじめについてのルポルタージュを書き、そうした問題への理解を深める教育活動をしている北村年子さんは次のように書いています。
「完璧な人は一人もいない。長所と同時に短所もあり、間違うこともある『不完全な自分』を受け入れて初めて、いま・ここの『あるがままの自分』を本当に認めることができる。否定的な自分をも嫌わず否定せず、許し受け入れられることそのものが『肯定的な力』となり、内在するエネルギーや長所をさらに引き出し、発揮させていけることを、私は十数年の子どもたち、親たちとの関わりの中で学び、気づかされた」(北村年子『「ホームレス」襲撃事件と子どもたち―いじめの連鎖を断つために』371ページ)
また、大阪釜ヶ崎で日雇い労働者に学びながら聖書を読み直している本田哲郎神父は、「虐げられている」「つらい思い」「支援が必要」といった状態を「弱さ」と捉え、そうした「弱さ」の中から、人をエゴイズム(自己中心性)から解放し、共に生きていくための行動へと駆り立てる力が発せられているといいます。そして何より私自身、弱者と思われがちな最重度の知的障がいがある人たちとの関わりを通し、その人たちの中から、私たちの偏ったものの見方を反省させ、共に生きていくための行動へと駆り立てる力が発せられていることを実感しました。「弱さ」を学び直すこと、これこそが共に暮らす社会を築く上で最も大切なことだと思っています。(関西福祉大学社会福祉学部教授・中村剛)
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○赤穂民報よりおわび=2月20日付け掲載分は正しくは『第3回』でした。執筆者、読者のみなさまにおわびします。
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