赤穂民報

関西福祉大学リレーコラム・大切なことを学び直す(5)(3月5日)

【「幸福」について】
 私たちは誰もが幸福を求めます。しかし、何が幸福であるのかは、意見が分かれます。さて、みなさんは何が幸福だと思いますか。この問いについては多くの人が、「何が幸福かは、人によって異なる」と考え、それ以上考えることをしません。そこで今回は、この問いを取り上げます。
 この問いに対して、「私にとって幸福は家族といることです」「夢を実現することです」といったように、「私」にとって最も「望ましいこと」を幸福として答える人は多いでしょう。しかし、幸福について考えるのであれば、次の2つの観点が必要不可欠であると考えます。
 1つは不幸です。確かに、何を幸福と考えるのかは、人それぞれでしょう。しかし、逆に、誰もが避けたいと思う状態であれば、意見はあまり分かれません。例えば、「死にたい」と思うほどに虐待されたりいじめられたりすることや、食べるものがなく死んでしまうような状態です。ジュディス・シュクラーという人はこうした状態を「共通悪」と言いました。私たちは「共通悪」がない暮らしを求めるという点では、意見が一致しやすいです。
 もう1つは他者の幸福/不幸です。もし、多くの人が不幸で、なかには「共通悪」ともいえる状態で苦しんでいたら、私たちは、心の底から幸福を感じることができるでしょうか。もし、そうした人が身近にいれば、幸福を感じることは難しいように思います。
 この2点を踏まえるならば、「何が幸福か」という問いについて考える際には、私、他者、幸福、不幸、この4つを適切に組み合わせることが必要になります。そして、「幸福とは、他者の不幸(特に共通悪)が最小限になり、そうした環境の中で、自分自身が価値あると思えることを行えること」と答えをまとめることができます。さて、みなさんは、幸福についてどのように考えますか?(関西福祉大学社会福祉学部教授・中村剛)

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