赤穂民報

赤穂市一帯は国内最大級カルデラ(8月8日)

 赤穂市を中心とする一帯が約8260万年前の火山噴火で出来たカルデラで、その大きさが国内最大級であることが産業技術総合研究所(産総研、茨城県つくば市)の地質調査で明らかになった。
 「カルデラの中に町があるのは珍しい。地質がより詳細に明らかになったことで、新たな鉱山開発や土木建設の基礎資料に役立つほか、ジオパークなどの観光資源にもなりうる」(産総研)と成果を説明している。
 産総研は全国各地域の地質を調査研究する国立研究開発法人。これまで調査がほとんど行われていなかった中国地方の調査の手始めとして平成23年度から3年かけて赤穂市周辺の地質調査を行った。現地踏査による地層観察、採集した岩石の年代測定などの結果、白亜紀後期に大量の火砕流を噴出した複数の火山活動による巨大なカルデラであることを解明した。
 火口や外輪山といったカルデラ地形は永年の浸食によってほぼ失われているものの、マグマが冷え固まった火山の地下部分が露出した上に赤穂市域が開けた状態。そのため、千種川沿いの沖積低地や干拓された区域を除き、強固な地盤が形成されているという。また、現在の活火山とは位置が異なるため、「再び噴火する心配はない」という。
 カルデラは火山活動によって出来た大きなくぼ地状の地形で、国内では熊本の阿蘇(長径約25キロメートル)、鹿児島の姶良(同約20キロメートル)などがよく知られる。今回の調査で判明したカルデラは東西約21キロメートル、南北約16キロメートルと推定。相生市と備前市の一部を含めて赤穂市域がほぼすっぽり入り、阿蘇や姶良に匹敵する大きさがある。
 現地調査では、御崎の福浦海岸から大塚海岸にかけての遊歩道沿いで岩石の割れ目にマグマが貫入して板状に固まった「平行岩脈群」が見つかり、福浦の山地にはカルデラが陥没した際に出来たとみられる急斜面が確認できた。相生の天下台山、備前市の鹿久居島にも溶岩が流れた地質などがあるという。
 今回調査が行われたエリアには、かつて金、ろう石が採掘された鉱床があり、それらも火山活動に伴って形成されたものだという。一般的に鉱床はカルデラの縁沿いに分布することが多く、「採算に見合う埋蔵量があるかどうかは別として、新たな鉱床が見つかっても不思議ではない」という。また、断層の分布も新たに判明し、「温泉の掘削に役立つ可能性がある」としている。
 調査を担当した佐藤大介研究員(31)は「過去の調査資料などからカルデラの存在はある程度予測していたが、ここまで大規模なものとは思わなかった」と振り返り、「地域が成り立つ基礎になっている地質について関心を持ってもらえれば」と話している。
 産総研は調査結果を地質図幅(縮尺5万分の1)にまとめ、一部1600円(税別)で刊行。Tel029・861・3540。

(約8260万年前の火山活動によるカルデラが解明した赤穂市を中心とする区域。実線がカルデラ地形の境界が確認(点線は推測)できた箇所=産総研提供)

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