赤穂民報
忘れられない絵本(8月13日)
わたしは、これまで、数千冊の絵本を手にしました。その中に、私のその後の生活を大きく変えた絵本があります。
先の大戦で、日に日にアメリカのB29による爆撃が続くなか、東京の上野動物園の飼育員の苦悩を実話でつづった絵本です。
この絵本は、1970(昭和45)年の8月に出版され、多くの人々に感動を与えました。
わたしが、この絵本を手にしたのは、有年中学校での歴史の授業で「戦争」をどう受けとめるべきか悩んでいるときでした。
私の父は、ビルマ(ミャンマー)の山中で戦病死しました。このことがわたしの「戦争」に対する考え方を真正面から見つめることができにくくしていたのです。
でも『かわいそうな ぞう』に出会ったことで、冷静に、よりいろいろな面から戦争を学んでいこうという姿勢が生まれてきました。
今は亡き妻があるとき「過酷で、むごたらしい戦争のことばかり考えていると……」と忠告をしてくれたことがありました。しかし、私の「戦争」に対する思いはむしろ深まっていきました。
そして、自分の思いを2冊の本にして、多くの人々に少しでも多くのことを知ってほしいと思うようになりました。
わたしは、『かわいそうな ぞう』(金の星社)のページをめくるたびに、いつも何かを教えられています。
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『かわいそうな ぞう』○文/つちや ゆきお○絵/たけべ もといちろう○金の星社
(『かわいそうな ぞう』 ○文/つちや ゆきお ○絵/たけべ もといちろう ○金の星社)
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