赤穂民報
【読者の声】群れのスズキに異常で不安(11月19日)
大津川でスズキの大群が泳いでいるのですが、うろこがはげたり、ひれが傷んだ魚の割合が多いです。病気や公害ではないかと心配です。(住民男性)
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魚の異常に男性が気付いたのは10月下旬。別の住民の話では、10月中旬の時点で、うろこがはげたスズキを見かけたという。
本紙が現地を確認した11月上旬には、数十匹単位の群れがいくつも護岸沿いを泳いでおり、少なくとも3〜4割で頭や背中、側面が部分的に白っぽくただれたようになっていたり、背びれや尾ひれがボロボロになっているように見えた。
取材を進めると、岡山県でも同じような症例が発生していたことがわかった。
岡山県農林水産総合センター水産研究所によると、10月上旬に瀬戸内市の小河川で背中や側面に擦ったような傷みがあるスズキが大量に見つかり、住民の通報を受けた市職員が捕獲して同センターに持ち込んだ。その後、玉野市、倉敷市の河川からも同様の通報が寄せられた。
今回の異常について考えられる原因としては、▽魚同士の接触による皮膚の傷み▽細菌や寄生虫による魚病▽有害物質による変調-などが思いつく。
同センターは各河川で捕獲されたスズキを解剖。「細菌や寄生虫は検出されなかった」という。「感染症などの魚病ではなく、まん延する恐れはないと思われる」との見解に至ったものの、その他の調査や分析は行われず、原因は不明なままだ。
本紙に通報した男性は「チヌやボラにも同じような異常があるのを見かけた。原因がわからないままでは不安なので、もっと詳しく調べてほしい」と話している。
スズキは11月16日時点でも大津川に滞留しており、赤穂市産業観光課農林水産係は「まずは現場を確認する」と話している。
スズキは成長や季節によって生息場所を変え、川に遡上することもある。
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赤穂民報より
兵庫県水産技術センターに問い合わせたところ、「地元自治体や漁業者から検体が送られれば、病理検査を行うかも知れない」とのことでした。
その他にも国や県などの関係機関に問い合わせましたが、「養殖魚や漁師が獲った魚の中に異常があったり、大量死したなどといった場合には調査するが、今回のケースは当てはまらないので、県が動く必要はないと考えている」(兵庫県中播磨県民センター姫路農林水産振興事務所)といった回答に代表されるように、ほとんどの機関が調査の必要性を認めませんでした。
行政が魚介類の安全性を確認する対象は養殖魚や輸入魚に主眼を置いており、天然魚に異常が見つかった場合の初動対応については特に取り決めがないのが実状のようです。
仮に魚病ではないとした場合、有害物質によって引き起こされた可能性を懸念しますが、「排水基準が定められており、有害物質が基準値を超えて海に流出することを想定していない」(兵庫県生活衛生課)ため、兵庫県が食品衛生監視指導計画に基づいて実施しているモニタリング検査の対象に魚は入っていません。
定期的なモニタリング検査の必要はないにせよ、今回のように異常が確認された場合は病理検査に加えて有害物質の検査も行うべきと考えます。そうした努力の積み重ねが瀬戸内海の環境や食の安全を守ることになるのではないでしょうか。
(うろこやひれに傷んだような症状が見られるスズキの群れ=読者提供)
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