赤穂民報
関西福祉大学リレーコラム・第2回―公共と自由(2月4日)
自由や平等は、歴史の中で見出されたとても大切な価値です。そこにはさまざまな意味が込められています。しかし、残念ながらその意味は十分に汲み取られていないように思います。そこで、今回は自由を取りあげ、自由と公共の関連性についてお話しします。
自由には、公権力をはじめ、暴力や抑圧、貧困から自由になり、私的領域において「自分の好きに振舞う」といった意味があります。このうち「公権力をはじめ、暴力や抑圧、貧困から自由」というところは、自由がもつ大切な意味です。しかしそれだけではなく、自由には、公共の事柄(公的領域)に参加し、自分たちで自分たちが暮らしている地域や社会のルール・秩序を作るといった意味もあります。後者の意味では、自分たちでルール・秩序を作る義務や責任が伴います。
個人的な印象ですが、公権力や抑圧などからの自由、そして公共の事柄を自分たちで創る自由といった、公的領域に関わる自由の意味が理解されず、自由が「自分の好きに振舞う」という形で私的領域に閉じ込められてしまっているように感じられます。しかし、自由には、公共の事柄(公的領域)に自発的に関わり、他者と対話し、自分たちで自分たちの地域や社会を作っていくといった意味もあります。こうした自由によって、地域の政治や福祉といった公共は創られていきます。
多くの人が自分の仕事や家庭のことに追われています。つかの間の休息は、体と心を休め、私的な趣味に使いたい、そんな時代のようです。でも、だからこそ、追われる日常から少し自由になり、自分たちで自分たちの地域や社会を創っていく、そんな自由を大切にしたいと思います。(中村剛・社会福祉学部教授)
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