赤穂民報

高齢者保護の善行男性が判明(3月1日)

 先月10日、行方が分からなくなっていた塩屋地区の高齢女性が無事保護された一件で、女性を捜索本部まで車で送り届けた匿名の男性が判明した。
 善意の男性は加古川市山手の自営、町田雄治さん(51)。大工業の町田さんは同日午後9時ごろ、赤穂市内での仕事を終えて帰宅する途中、加里屋中洲の道路沿いで高齢の女性がしゃがみ込んでいるのを見かけた。「体調不良か交通事故にでも遭ったのでは」と心配になった町田さんは車をUターン。すると、同じように気にかけた男性が道路脇に車を停め、女性に声を掛けていたという。
 「おばあちゃんは薄着で寒そうでした。どこから来たったん? と尋ねたら、『塩屋小学校の近く』やと。前に塩屋で仕事したことがあって、だいたい距離はわかる。そんなとこまで歩いて帰ったら寒うて風邪ひくから、乗せて帰ったげるわって言うたんです」
 もう一人の男性から「お願いします」と託された町田さんは女性を助手席に乗せて塩屋方面へ。塩屋小近くまで来て、詳しい道を尋ねようと声を掛けた相手が女性を捜索中の消防団員だった。
 「なんや消防団の人がようさん歩いとってね。ひょっとしたら、このおばあちゃんを捜しとんちゃうか思たら、ほんまにそうやった」
 町田さんは消防団員の案内で捜索本部が置かれていた塩屋西自治会館へ向かい、女性は無事に家族と対面できた。捜索関係者によると、県警から手配された警察犬が活動を開始しようとしていたところだったという。
 「ご家族も消防団の人らも、おばあちゃんがけがしてへんか確認したり、いろんなとこに連絡したり、いろいろ大変そうやったんで、『僕、よかったら帰りますね』言うて声掛けて帰ったんです」
 町田さんはその後も赤穂市内での仕事が続き、女性を保護した出来事を周囲にポロリと話した。たまたま、同じ現場に入っていた協力業者の中に捜索に関わった消防団員がおり、町田さんが善意の男性だったことがわかった。女性の家族にも知らされ、家族は町田さんに感謝を伝えることができた。
 数年前まで小学生ソフトボールチームの監督を務めていたという町田さん。「人には親切に。思ったことは行動に移そう」などと指導してきたという。「子どもらに言うた以上は自分が率先してやらなあかん」。これまでも自転車で転んだ人を見れば「大丈夫か」と声を掛けるなど、助けが必要かもしれないと思えば積極的に手を差し伸べるように心掛けているという。
 町田さんは「おばあちゃんが無事だったことが何より。良かった」とやさしく目を細めた。

(高齢者保護の善行が判明した町田雄治さん)

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