赤穂民報
エリック・カールの絵本(7月1日)
私に絵本の素晴らしさを教えてくれた一人がエリック・カールです。彼の絵本を何度も手にしました。そのたびにカルチャーショックを受け続けました。
イギリスの動物学者ジェーン・グドール。彼はタンザニアのゴンベで野生のチンパンジーを研究している中で、「ナマケモノ」に出会います。エリックは、そのとき感じたことを「ゆっくりがいっぱい!」という絵本にしました。
ナマケモノという動物は、いつも木の枝にぶら下がり、あまり動こうとはしません。そのためか、あまり好感を持たれないかもしれません。
「ゆっくり・のんびり・おっとり」としていることがなぜいけないのでしょうか…。より早く、より大きく、より豊かにという暮らしをいつ頃から求めるようになったのでしょう。
ひょっとすると、現代社会の成り立ちに深くかかわっているのかもしれません。
ときには取り返しのつかない過ちを何度も起こしているかもしれないのに……。
ときには、ナマケモノのように「ゆっくり・のんびり・おっとり」と生きていくことの大切さを感じます。
私の思いは、今の世の中では受け入れられないでしょう。しかし、日々の暮らしを振り返ってみることは、とても大切なことです。
エリック・カールの絵本はいつも新しいことを教えてくれます。
* * *
『ゆっくりがいっぱい!』○作/エリック・カール○訳/工藤直子○前書き/ジェーン・グドール○偕成社
(『ゆっくりがいっぱい!』 ○作/エリック・カール ○訳/工藤直子 ○前書き/ジェーン・グドール ○偕成社)
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