赤穂民報

「くぼっち先生」久保良道さん逝去(10月7日)

 自宅に私設の絵本図書館「くぼっち文庫」を開き、赤穂民報でコラム「絵本で世界を旅しよう!」を執筆した有年原の元中学校長、久保良道さんが7日、がんのため市内の病院で亡くなった。80歳だった。
 赤穂、相生の小・中学校で教鞭をとり、市立民俗資料館長も務めた久保さんは退職後の平成15年、がんで先立った妻・眸さんの遺志を継ぎ、世界中の絵本を自費で集めた「くぼっち文庫」を自宅車庫を改修して開設。その翌年から本紙で掲載が始まった絵本紹介のコラムは先月までに通算240回を数え、今年8月にはコラムを再編集して一冊にまとめたものとして2冊目となる『絵本で世界を旅しよう2―くぼっち文庫の100冊』を出版した。
 平成16年の水害で千数百冊の蔵書を失ったが、何度も東京の古書店に足を運ぶなどして再収集。収蔵する絵本は約100の国・地域の計4000冊を超え、それらを利用者に無料・無期限で貸し出した。数年前からがんを患い、今年4月から療養に専念するため文庫を休館。「絵本は読まれてこそ価値がある」と、8月に地元の小学校や幼稚園に蔵書の大半を寄贈した。
 久保さんは生前、「絵本は人生を豊かにしてくれる」「私自身が絵本に救われた」と話していた。著書のあとがきには、「私の願いは、ただひとつ。ゆったりとした気持ちで絵本を楽しんでほしいだけです」とある。久保さんが寄贈した絵本の一冊一冊に温かな願いがこもっている。

(100カ国目の絵本が届いて笑顔の久保良道さん=平成24年6月)

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