赤穂民報

障害者介助 目指すは姫路城天守閣(10月28日)

 最重度の身体障害がある人に世界文化遺産・姫路城の天守閣からの眺めを楽しんでもらおうと、関西福祉大学の学生たちが11月11日(土)、介助を駆使して登城を支援するプロジェクトを実施する。学生たちは春から話し合いや下見、訓練を重ねて準備してきたといい、「安全第一で成功させたい」と意気込んでいる。
 姫路城は高さ約45メートルの小山に築かれ、曲がりくねった坂や階段を上がった先に天守閣がある。建物内は文化財保護のため車椅子やベビーカーなどの持ち込みは禁止で、エレベーターは設置されていない。姫路城管理事務所によると、天守閣(地上6階建て)の最上層までの階段は合計110段。重度障害者の見学は困難となっている。
 プロジェクトに挑むのは、社会福祉学部スポーツ福祉コースで学ぶ谷口泰司ゼミの2年生16人。フィールドワーク型授業の一環で今年4月から準備を進めてきた。現地下見で入城口から天守閣入口まで車椅子での移動を体験。急な階段を搬送するノウハウを得ようと消防レスキュー研修も受講した。
 当日は大手門から天守閣入口までは車椅子で移動し、天守閣は椅子式担架に乗せて4〜6人で担ぎ上げる作戦で臨む。角度が急で踏み幅の狭い階段を安全に移動できるように学生たちは滑り止め付きの足袋を取り寄せた。
 姫路市内の障害者福祉施設で希望者を募ったところ9人の申し込みがあった。今回は、そのうち最も障害の重い3人を受け入れ、残りの希望者は来年度以降に順次実施する予定という。
 24日には介助メンバーのチーム編成を決定。バランスを取りやすくするため、なるべく身長が近い者同士でチームを組んだ。さっそく校舎の階段で訓練し、乗っている人に恐怖を感じさせないよう、担架を持ち上げるタイミングや動き出しのスピードなど細部を詰めた。
 ゼミ生らは全員が体育会クラブに在籍するアスリート。野球部の入江和希さん(20)は「全力でサポートして、てっぺんからの景色を楽しんでもらう」と登城に自信をみせる。小川拓真さん(20)は「安心して身を任せてほしい」と、乗っている人への声掛けを増やすことを提案した。当日は施設職員と看護師も帯同して万全を期す。
 「このプロジェクトが『どうしたら障害の有無にかかわらず全ての人が登城できるか』について考えるきっかけになれば」と谷口教授。姫路城に小規模昇降用リフトを設置することについて意見を聞く街頭アンケート調査も当日に城周辺で実施するという。

(プロジェクトへ向けて階段昇降をトレーニングする学生たち=谷口泰司教授提供)

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