赤穂民報
マッチ箱日記(11月25日)
絵本のなかには、これまでに味わったことのない思いや感動を与えてくれるものがあります。「マッチ箱日記」もその一冊です。「マッチ箱」って、今の子供たちはわかるかなあ…。
アメリカへ出稼ぎに行っていた父のもとに、お母さんに連れられてイタリアから移住する少年の物語です。
家庭は貧しく、少年は学校へも行けません。もちろん、字を読むことも書くこともできません。
マッチ箱日記の始まり、それは「おなかがすいた」と言ったとき、お母さんがオリーブの種をくれたときからです。その時のオリーブの種をマッチ箱に入れて大切に持っていたことから始まったのです。
それからの少年は、アメリカへの船旅の時、アメリカでの生活、何かあると思い出のものをマッチ箱に入れました。ときどきマッチ箱を取り出し、日々の暮らしの心のよりどころにしていました。
当時のアメリカには、イタリアなどからの移住民を嫌がる人もいました。子どもたちに石を投げられて前歯が折れたことがありました。その折れた歯もマッチ箱に入っています。
当時のアメリカ社会の一端を垣間見たような気がします。
わたしは、中学生の頃から何度か日記にアタックしましたが、一度も日記を続けることができませんでした。
この絵本から、私の思っていた「日記」のイメージの狭さをつくづくと考えさせられました。
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『マッチ箱日記』○文/ポール・フライシュマン○絵/バグラム・イバトゥーリン○訳/島式子、島玲子○BL出版
(『マッチ箱日記』 ○文/ポール・フライシュマン ○絵/バグラム・イバトゥーリン ○訳/島式子、島玲子 ○BL出版)
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