赤穂民報

【読者の声】難病助成2年間知らされず(12月16日)

 私は難病医療費助成制度の対象になっている「紫斑病性腎炎」の患者で、赤穂市民病院で治療を受けています。
 しかし、今年11月まで制度があることを知らず、助成を受けることができませんでした。私の他にも制度を知らないために助成を受けられていない人があるのではないでしょうか。(市内60代男性)
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 男性は平成26年9月、出張先で腹痛などを訴えて福井県内の病院に入院。京都府内の病院を経て赤穂市民病院へ転院し、同年11月に「紫斑病腎炎」と診断された。翌年4月まで入退院を繰り返し、その後はほぼ月1回のペースで通院している。
 「紫斑病性腎炎」は平成27年7月に指定難病に追加された。その後も男性の通院は続き、病院は治療計画に基づき療養上必要な指導を行った場合に算定する「難病外来指導管理料」を毎月請求していたが、助成制度についての案内はなかった。男性は今年11月、別件で赤穂健康福祉事務所の職員に会った際、助成制度のことを教わり、主治医に相談。病院側からは「平成27年に指定難病が大幅に増加したため事務処理が追いつかなかった」「当時、主治医が難病指定医でなかったためわからなかった」などと弁明があったという。
 男性は助成を受けるために必要な診断書の交付を病院から受け、今月ようやく申請手続きを完了した。今後は月々約1万2000円の自己負担額が2500円に軽減される見通しだが、助成の対象になるのは申請後の治療費に限られる。本紙の試算では、本来は助成を受けられたはずなのに男性が自己負担した金額の合計は約28万円になる。
 兵庫県によると、「難病医療費助成制度について医療機関が患者に周知する義務はない」(疾病対策課)という。しかし、「重症度によって助成の対象になるかどうかが決まるので、主治医が制度を知らせる場合がほとんど」(赤穂健康福祉事務所)で、医療機関が周知に消極的だと患者が不利益を被る可能性が高まる。
 この件について赤穂市民病院は赤穂民報の質問に「個々の患者について、病院として制度の周知をする必要があるとは考えていなかった」と回答。今回の指摘を受けて、院内の掲示板やパンフレット置き場に助成制度のリーフレットを掲出及び設置したほか医師にも指定難病のリストを再配布したという。「今後、行政とも連携しながら、公立病院として制度の周知により一層努めていきたい」とする一方、同じような周知不足がないかどうかについては「個別のケースについての確認は考えていない」としている。
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赤穂民報より
 助成制度について「医療機関が患者に周知する義務はない」とのことですが、責務はあるはず。それに、「義務」や「責務」などを持ち出さずとも、患者はただでさえ病気で辛い思いをしているのですから、せめてこうした事務的な手続きはストレスなく進められるようにする「思いやり」が医道には必要なのではないでしょうか。病院は同様のケースがないか、今一度確認するべきです。

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