赤穂民報

関福大リレーコラム・子育てを哲学する―(1)“いのち”の恵み(2月17日)

 これから4回にわたり、子育てについて哲学してみたいと思います。ここでいう「哲学」とは、子育てについて、ちょっと立ち止まり、考えてみることです。そして、これまでとは違った形で子育てを理解できるようになることです。
 さて、子育てにおいて、私には忘れられない言葉、そして、「真実だ」と実感している言葉があります。それは「子どもは3歳までに一生分の親孝行をする」です。私が老人ホームの相談員をしているとき、ベテランの寮母さん(いまの言葉で言えばケアスタッフ)から学びました。
 親孝行は、一般的には「親を大切にすること、真心をもって親に尽くすこと」を意味します。しかし、先の言葉には違った意味が込められているように思えます。それは「恵みを贈る」といった意味です。
 「パパ、ママ」と呼ぶ声、サンタクロースからプレゼントが届いたときに見せた満面の笑み、そして寝顔など、いろいろな機会を通して子どもたちは、私たち夫婦を幸せにしてくれました。
 子どもたちから贈られた恵みは、“いのち”の営み・働きがもたらす愛くるしさ、かけがえのなさ、尊さ、厳かさ、のように思います。子どもたちはとっくに3歳を過ぎていますが、いまだに、そうした恵みを贈り続けてくれています。有るのが当たり前ではない、有り難いことだと感謝しています。
 すべての子育てに、“いのち”の営み・働きがもたらす恵みを感じる可能性があると思います。しかしながら、いろいろな理由から、「愛くるしさ」「かけがえのなさ」「尊さ」「厳かさ」を感じられなくなる状況があるのではないでしょうか。それこそが子育てにおける最大の問題であると考えます。次回は、そうした問題について考えてみたいと思います。(中村剛・社会福祉学部 学部長)

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