赤穂民報

「手話は言語」市条例が可決(3月19日)

 手話、ろう者への理解を深めることなどを目的とする「赤穂市みんなの和を広げる手話言語条例」が19日の赤穂市会で全会一致で可決した。
 手話を「言語」と位置付け、理解と普及を進めるための行政の責務や市民、事業者の役割を明文化。市は条例施行に伴い、来月1日に手話通訳士1人を正規職員として採用する。
 条例は基本理念に「全ての市民は手話によるコミュニケーションを円滑に図る権利を有し、その権利は尊重される」と掲げた上で、ろう者が円滑に生活できるために必要な配慮や施策の推進を市の責務とする。市民と事業者には、市施策への協力に努めることを求め、さらに事業者には、ろう者が利用しやすいサービスの提供や働きやすい環境の整備に努めるよう定めた。
 条例制定を受けて、市は今後、手話に関する研修や講座をより活発に開き、市の出前講座「早かごセミナー」にも手話啓発のプログラムを導入する。また、手話を普及させるためのパンフレット作成や市ホームページでの手話による動画発信なども検討していく。
 条例の名称は、制定へ向けた意見交換会で、ろう者から提案があったアイデアが採用された。「和」は思いやりややさしさを意味し、手話やろう者への理解を通じて思いやりの輪を広げ、「全ての市民が尊重し合えるやさしい共生社会」を目指す願いを込めた。
 市のまとめでは、聴覚障害で身体障害者手帳を所持している市民は162人(昨年3月末時点)。聴覚障害者の話によると、聞こえる人が多数の世界で、「聞こえる人の言語や文化にあわせて生きている」のが現状で、例えば、職場では聞こえる人ばかりの中、コミュニケーションがうまくとれず自分の仕事だけを黙々としている人も多いという。
 この日は手話を利用する市民や関係者が市庁舎に集まり、条例制定の喜びを分かち合った。聴覚障害者の一人として意見交換会にも参加した尾崎の中村千穂さん(52)は「私たち、ろう者にとって母語(第一言語)である手話が言語として認められ、感謝と喜びで一杯です」と喜び、「条例をきっかけに手話を学ぶ機会が増える。公共機関などで手話通訳ができる職員や遠隔手話通訳システムの配置にもつながってほしい」と期待した。

(手話言語条例の制定を祝う関係者)

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