赤穂民報

関福大リレーコラム・もう一人の自分から見たメタ認知によって、自分を磨きましょう(4月28日)

 以前に叱り方のコツとして、振り上げた拳をどこで下ろすかを考えながら叱る、と書きました。子どもの逃げ道をこしらえて叱る、と言い換えることもできます。
 これは、叱っている自分の姿を冷静に、客観的に見ているもう一人の自分をおいてそこから見ることでもあり、このような、認識を認識する見方を「メタ認知」といいます。
 ゴルフのスィングを撮り、再生するのもメタ認知です。小学校の先生をしていた頃、授業をしている姿をビデオに撮り、再生してみると(これを鏡的手法といいます)、自分のくせがたくさん目に付きました。いつも黒板の左端にいてそこから授業を進めていることや、話し方のくせ、間の取り方のまずさ(急がし過ぎ)、子どもの思考を整理しきれない板書のまずさ等々、改善すべき多くのことが分かり、おかげでその後は少しずつですが、いい授業ができるようになりました。
 このようなメタ認知による振り返りによって、自分の力で成長していく効果的な方法をお教えします。それは、もう一人の自分から見て、ほめてやりたいこと、励ましてやりたいこと、がんばっていること、叱ってやりたいことを挙げてみることです。
 ほめてやりたいことは以前の自分から見ての成長や向上について、励ましてやりたいことは「がんばれ」にとどめず、どこをどのようにがんばればよいかを考えながら、がんばっていることはこれからがんばることでもいいでしょう、叱ってやりたいことは自分らしくない行為や習慣について素直に振り返ること、これらがポイントです。
 子どもと一緒に書き出してみるのも、これからの目標になるので効果的です。「これは私だけじゃなく、お母さんだってできていないんじゃない。」こう指摘されたら、すかさず「その通り、そこ弱いんだよね。お母さんもがんばるね」と認めること。自分の欠点を素直に認めることが、ユーモアの極意です。
 このほめる、励ます、叱るは、先生にとっても学級づくりのポイントです。ほめ上手、励まし上手、叱り上手になること。このような学級づくりによって温かいクラスの風土を創ること。学校が楽しいのは勉強がよく分かるだけでなく、私を認め、受け容れる先生の温かいまなざしと、そのまなざしがまわりの友だちのまなざしになって醸し出されるクラスの風土があってこそのことなのです。
 日々の授業の中でのこのような温かいまなざしからのほめことばや励ましのことば等が、改めて文章によってほめ直し、励まし直しされるのが通知表の所見の内容なのです。
(加藤明学長) 
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 次回は看護学部の掛田崇寛教授のコラムです。お楽しみに!

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