赤穂民報

関福大リレーコラム・子育てにおける父親の姿勢について(5月12日)

 先日、小学校六年生になった娘から、「お父さん、お願い、ほしい文房具があるの。ペンでしょ、ノートでしょ、付箋でしょ、ほしい物がいっぱいあるの」とおねだりされて文具専門店へ買い物に出掛けました。
 その後、「こないだの文具は大事に使っているか? 勉強は頑張ってるか?」と尋ねると、今度は返事がなく、背中を向けて反応がありません。全く何てことだと思いつつ、これも年頃の女の子だから仕方ないと自らに言い聞かせました。
 そもそも、年頃の子どもから、親は一体どのように見られているのでしょうか。思い起こせば、娘と同じ年齢の頃、自分が両親に対してとっていた態度を思い返せば、今の状況は容易に理解出来ます。そうです、困った時や必要な場合を除くと、正直話すのが面倒なのです。差し詰め親はこの時期、「困った時に願いを叶えてくれる人」といった具合なのかもしれません。
 一方、私は元来ポジティブな思考をする人間で、困難や逆境に対して思慮を巡らして解決を図ろうとすることが嫌ではありません。また、娘の思春期は彼女の一生の中では限定的な時期であり、幼少時の可愛らしい姿を思い起こしながら、微笑ましかったあの時期のような状況が再び訪れるのではないかと、かすかな期待を実は今も抱いています。
 成長の過程においては、夜泣きで疲れた日々もあり、多忙な時に限ってなぜか娘が発熱したり、またある時は帰宅時の待ち合わせを失念されて待ちぼうけを食わされたりと、神様の悪戯とも思えることがこれまで幾度もありました。それでも、過ぎてしまえばただの笑い話。目の前にある子育てに関する苦労は、実は未来の幸のためにあるのかもしれません。
 イギリスの作家であるオリバー・ゴールドスミスは「我々のもっともすばらしい栄光は、決してくじけないことではなく、くじけるたびに立ち上がることにある」と述べています。そうです、折れない気持ちと姿勢こそが子育てにおいても重要であり、長い目で子の成長を見守っていく気概を持つことが親として必要なんだと思います。娘との関係性の青写真を思い描きながら、今日も私から娘に話しかけるのです。(看護学部教授・掛田崇寛)

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