赤穂民報

日本遺産「北前船寄港地」赤穂市が追加認定(5月24日)

 文化庁は24日、昨年度に日本遺産認定した「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間―北前船寄港地・船主集落」に赤穂市を含む27市町を追加認定したと発表した。知らせを受けて地元では関係者らが鏡開き。万歳三唱で喜びを分かち合った。
 北前船は江戸中期から明治にかけて、本州の日本海側沿岸を経由して大坂と北海道を結ぶ西回り航路を往来した買積船の呼称。北海道から福井県にかけての7道県11自治体による申請で「北前船寄港地・船主集落」は昨年4月に日本遺産に認定。今年2月、新たに赤穂市など14道府県27自治体が追加申請した。
 赤穂では、船舶の風よけに適した生島(国天然記念物)があり、高瀬舟が往来した千種川にも近い坂越が寄港地として栄えた。船舶管理を行った「旧坂越浦会所」(市有形文化財)、廻船運賃を記した「船賃銀定法」(同)、航海中に死亡した人を埋葬した「黒崎墓所」(県史跡)など関連の文化財が現存し、廻船業の繁栄とともに伝承されてきた「坂越の船祭」は国無形民俗文化財となっている。
 地元まちづくり団体「坂越のまち並みを創る会」(門田守弘会長)が3年前から日本遺産認定を目指して活動。北前船寄港地フォーラムに参加してゆかりの地の関係者と交流を深めたほか、地域で学習会やイベントを開催。旧坂越浦会所近くに北前船の模型を展示するなど機運を高めた。そうした熱意に行政も腰を上げ、昨年7月に関連自治体で構成する「北前船日本遺産推進協議会」に加盟した。
 追加認定の知らせに明石元秀市長は「大変うれしい。赤穂市の豊かな歴史文化を伝える貴重なストーリーの一つとして、観光振興や地域活性化の追い風になるものと期待している」とコメント。関連自治体と連携しつつ、有形・無形の文化財群を国内外へ発信し、地域活性化に役立てる。
 念願がかなった門田会長は「地元をはじめ協力、応援していただいた方々のおかげ」と感謝。今後は高瀬舟が運航した千種川沿いの地域をつなぐウオーキングイベントや古民家を活用した観光客向け休憩所の整備などに取り組む予定で、「自立した運営を目指したい」とインターネット上で寄付を募るクラウドファンディングで資金調達を呼び掛けることも検討している。
 日本遺産は、地域の歴史的魅力や特色を通じて我が国の文化・伝統を語るストーリーを文化庁が認定するもので平成27年度に創設。今年度の新規13件を含めて認定件数は67件となった。兵庫県関係分では▽デカンショ節▽銀の馬車道などがあり、「北前船寄港地・船主集落」で5件目。同庁は東京オリンピックが開催される2020年までに100件程度の認定を予定している。

(「北前船寄港地・船主集落」の日本遺産追加認定を万歳三唱で祝う「坂越のまち並みを創る会」のみなさん)

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