赤穂民報
関福大リレーコラム・運動は薬である(7月7日)
「運動は薬である」。
この言葉は2007年にアメリカスポーツ医学会とアメリカ医師会により提唱されたキャッチフレーズです。これまで行われた数多くの研究報告により、運動が薬と同じように、肥満、高脂血症、糖尿病、高血圧、骨粗鬆症をはじめとする数多くの病気の予防や改善に役立つということが明らかにされてきたからです。
例えば、ウオーキングや水泳運動のように軽い運動を長期間行うと、脂質や糖質の利用を高め、肥満、高脂血症、糖尿病などのメタボリックシンドロームに関係する病気の予防や改善につながることが知られています。ダンベルやバーベルなど重いおもりを持ち上げるような運動では、老化や運動不足による筋肉や骨の減少を防ぐことができ、そのことにより転倒や骨折の可能性を低く保つことができます。また、手術をした後も、医師から「できるだけ動きなさい」と言われる場合が多く、それは運動が術後の回復に役立っているためと考えられます。
しかし、運動は薬のように短期間でその効果が得られるというものではありません。半年や1年といった長期間継続することによりその効果が現れ、場合によっては一生続ける必要があるかもしれません。また、薬は用法・用量を間違うと治療効果が得られなかったり、症状を悪化させることがありますが、運動も実施する運動の種類、強度、持続時間、頻度などを間違うと効果が得られなかったりケガをしたりすることがあるので注意が必要です。特に日本人はこうと決めたら頑張る人が多く、腰や膝を痛めて運動を中断しなければならなくなったという話はよく聞きます。 薬では「処方箋」という言葉がありますが、運動の場合「運動処方」と言います。正しく運動するためには、医師あるいは理学療法士や健康運動指導士など資格をもった人に相談し、それぞれの目的にあった「運動処方」を作ってもらうことをお勧めします。
適正な運動を実施し、健康で長生きのできる生活を目指して下さい。(教育学部保健教育学科・中谷昭教授)
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次回は教育学部保健教育学科の池永理恵子教授です。お楽しみに!
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