赤穂民報
関福大リレーコラム・自分を守る力を育む(8月25日)
朝晩は少し過ごしやすくなりましたが、今年も非常に暑い夏となりました。毎年、夏になると、海や川、山での悲しいニュースが届きますが、今年も海や川での事故が報告されています。
世界保健機関(WHO)の報告(Global Report on Drowning. 2014)によると、1年間に世界で37万2000人もの人々が溺死により命を失っています。すなわち、約1・5分に1人が尊い命を水辺の事故により失っていることになります。厚生統計要覧(厚生労働省)によると、我が国においても1年間に7000〜8000名もの方々が、溺死及び溺水で亡くなっており、そのうち15〜20%が、自然の水域内、もしくは自然の水域への転落による溺死及び溺水で亡くなっています。
柵や看板などを設けることにより、水辺に近づくことを制限することは、水辺での事故を防止するための方策の一つ(回避、あるいはコントロール)です。確かに水辺に近づかなければ、水辺での事故は起こらないでしょう。しかし、それだけではなく、基本的な水泳技術や水中で呼吸を確保する方法の習得、水辺の事故防止教育の実践が大切です。
旅行先にきれいな砂浜やプールがあるといかがですか? 入りたくなると思いませんか? Royal Life Saving National Drowning Report 2017(Royal life Saving Society-Australia)によると、2016年7月から2017年6月までにオーストラリアで発生した溺死のうち、約7%は海外旅行者であったと報告されています。
自然を楽しむためには、まず「何が危険であるか」、「いざというときに、どのようにすればよいか」を知らなければなりません。そのことが、いざというときに自分の身を守ることにつながるからです。自然は、優しさも厳しさも持ち合わせた教材であり、先生です。自然について学びながら、自然を楽しみ、自然と親しむ中で、危機管理能力(自分を守る力)を身に付けていけるものと考えます。
赤穂には、海、山、川など、豊かな自然が広がっています。学校、地域、家庭での教育ではもちろんのこと、この豊かな自然の中で、子どもたちにも多くのことに気付き、考え、動き、学び、「自分を守る(生きる)力」を養ってほしいと願います。(吉岡哲・教育学部保健教育学科准教授)
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次回は教育学部保健教育学科の鈴木みちる助教です。お楽しみに!
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