赤穂民報
とんぼ(9月15日)
最近はギンヤンマやオニヤンマ、シオカラトンボなどの姿が見えません。どこにいったんでしょうか……。
『とんぼ』は、韓国の絵本です。さぞ楽しい物語と思っていましたが、そうではありません。
野原の花の根元で、一匹のトンボが死にました。アリたちが集まり、「たるらん、たるらん」(野辺送りの葬列で鳴らされる鈴の音)と鈴の音を響かせながらとんぼの弔いをするのです。美しい絵に秘められたアリによるトンボの葬儀に一瞬唖然としました。
訳者のおおたけきよみさんは、「死は自然の摂理であって、恐怖ではないのです」と、本の帯に書かれています。
たしかに、この世に生を受けたものは、必ず「死」を迎えます。そのことをこれほどまでに静かに、そして美しく描いた絵本に出会ったことはありません。朝鮮文化の崇高さのようなものに触れた気がしました。
なお、赤穂にも「とんぼ」の話が伝えられています。『赤穂の昔話第二集』を手にしてもらえればうれしいです。
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『とんぼ』○詩/チョン・ジョンチョル○絵/イ・グヮンイク○訳/おおたけきよみ○岩崎書店

(『とんぼ』○詩/チョン・ジョンチョル ○絵/イ・グヮンイク ○訳/おおたけきよみ ○岩崎書店)
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