赤穂民報
関福大リレーコラム・武道教育の役割と意義(9月15日)
平成24年4月より、中学校の保健体育において武道が必修化となりました。「武道」といえば、どのようなイメージがあるでしょうか。
一般的に日本で「武道」とは全部で9種目あり、各種目において少し異なる礼儀作法等があります。「武道」を教育に導入することにより、様々な目的や目標がありますが、特に「伝統の継承・文化の尊重・我が国と郷土を愛する心を育てる」この3つが大きく掲げられています。また、中学校の保健体育の授業で「武道」の礼儀作法や武道の精神性にふれることで、豊かな人間性を育むことにもつながるのではないかと考えられます。今回は武道の中の「剣道」をもとに人を尊重する気持ちがどういったことなのか、また礼儀作法の手順などを少しでも知っていただければと考えています。
剣道の競技特性として、対人性の競技であり、竹刀を用いた実践(試合等)と木刀を用いた形(日本剣道形・木刀による基本技稽古法)があります。剣道の開始前と終了後には必ず礼があります。このことは、「礼に始まり、礼に終わる」という教えから、「座礼」と「立礼」があり、剣道の正座は「左座右起」の作法で座礼を行います。また、立礼のお互いに(相手に対して)礼は15度で目線は外さずに行い、神前(神棚や国旗など)への礼は30度で目線を外して行います。竹刀を用いた実践では、相手を打つなどして、相手を攻撃する対人性の競技であることから、常に相手の人格を尊重し、打ちには心から尊敬や感謝の念を持たないといけません。これらのことから社会的態度の育成にもつながると考えています。
剣道は相手から一本(有効打突)を取った際に喜びを表現(体現)することは、相手への尊敬や感謝の念がないと判断され、有効打突を取り消されます。様々な競技の中で勝敗を競い合いますが、勝者がいれば、敗者もいます。勝って喜ぶことはわかりますが、その際に敗者への気遣いや心配りをする、しないでは全く競技としての魅力が変わってきます。
今回の礼儀作法や武道の精神性を少しでも知っていただき、普段の生活に役立ていただければ幸いです。(教育学部保健教育学科・山口幸一助教)
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次回は教育学部児童教育学科の中道美鶴教授です。お楽しみに!
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