赤穂民報

関福大リレーコラム・ネット断ちのススメ(6月8日)

 近年、情報機器の進歩は目覚ましく、私たちの生活スタイルを大きく変えようとしています。
 スマートフォン(以下スマホ)は、インターネットへの接続が容易で、辞書や事典、地図、ユーチューブなどの動画、ゲームなどの各種サイトに瞬時につながります。また、ライン、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムなどのSNSで幅広く多くの人々と交流でき、写真も手軽に撮ることができます。
 内閣府の「青少年のインターネット利用環境実態調査」(2018年度)によれば、平日1日あたりのインターネット利用時間は、小学10歳以上、118・2分)、中学生(163・9分)、高校生(217・2分)、全体で168・5分となっています。子どものスマホの所持率が高まる中、スマホを介してインターネットを利用する時間の割合が高くなっています。いわゆるスマホの長時間使用の問題です。皆さんも、今まで勉強や読書、運動、テレビ視聴、家族のだんらんに使っていた時間がスマホに置き換わっているなと思うことはありませんか。それほど強い影響力をもつのがスマホなのです。
 スマホをめぐる心身の健康面への影響としては、視力の低下、姿勢の悪化、生活リズムの乱れ、ネット依存の問題などが指摘されています。ネット依存は、アルコールやニコチンなどの物質が関与せず、インターネットに接する行動が行き過ぎた状態を指します。これを「行動嗜癖」といいます。行動嗜癖には、ギャンブルや性行動などがあてはまりますが、依存状態になるとその行動にとらわれて自分自身でまったくコントロールが効かなくなり、止めようと思っても止められないのが特徴です。
 今、あちこちの学校や地域で、スマホルールを作る取り組みが進められていますが、せめて1日1時間、ネットから離れる時間を持つことを心がけてみましょう。スマホは便利ではあるけれども、「身体密着性」があり、とてもやっかいなツールです。「スマホに依存し過ぎているのではないか」という感覚を維持できるか。スマホ時代を生きる私たち自身の課題と言えるでしょう。人ごとにしないで、さあ今日から実践です。(服部伸一・教育学部教授)

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