赤穂民報
私のこだわり(8)街歩き写真家(7月6日)
◆井内尚子さん(55)=西宮市
赤穂の写真を意識して撮るようになったのは2006年です。実家に帰るたびに「赤穂はのんびりしててええとこやな」と。子どものときには全然気付かなかった良さが見えてきた。
ちょうどそのころ、写真や展示に関する勉強をしたいと思って、どこか学校に行こうかとも思ったんですけど、それよりも自分でやりながら学んでいこうと。そう思って、写真展を始めました。
「ほのぼの写真展」のタイトルで2007年2月に赤穂駅の改札口横ギャラリーで展示したのが最初です。それからも赤穂駅と市民病院ロビーを中心に開いて、今回(7月1日〜14日、JR播州赤穂駅改札口横ギャラリー)でシリーズ30回目になりました。
朝、西宮から電車でやって来て、駅で降りて街歩き。遠いところはバスで。だいたい同じルートを歩きます。気になったところがあれば、いろんな角度から撮ります。懐かしさを感じる建物とか、橋から見える山とか。でも時間はかけません。スーッと流れるように撮りますね。
多いときは一日に5〜6時間かけて街歩きして500枚くらい撮ってました。最近は多くても250枚くらいですかね。
大学で文化人類学を専攻したんですが、フィールドワークで記録するためにメモ代わりで写真を撮ることが習慣になっていて。土木設計会社で働いたときも、御堂筋の端から端まで写真を撮るとかの仕事もあって。「まちを歩きながら写真を撮る」ということは私にとっては普通のことなんです。
カメラはリコーのコンパクトデジカメ。これが一番、空の青や木の緑の色合いが自分の好みのトーンなので。今使ってるのは2台目です。1台目が壊れたとき、もう生産が終わってたんで、オークションで買いました。愛用してます。
ほぼ晴れの日しか撮りません。それと午前中。季節はほとんど春と夏です。秋は紅葉が難しい。赤があまりいい色に出なくて。冬は撮らないですね。枯れ木を撮れるほど私は人間が出来ていません(笑)。
2年前から句会に参加するようになりました。「見たことを切り取る」という点では俳句も写真も同じで、写真の勉強にもなってます。
撮影はパパパパパーっとほとんど考えずに撮りますが、展示はじっくりと時間をかけてやります。並びや構成はものすごく考えています。一言で言えば、駅の展示は赤穂の街歩きを誘う「ガイドブック」、病院は癒やしを届ける「お手紙」になるように意識しています。
市民病院での展示が終わって片付けに行ったら、パネルと写真のすき間に感想を書いた紙がはさんであって、そのときは嬉しかったですね。あと、駅で展示を見たおばあさんから「入院しているおじいさんに見せたいので、この写真がほしい」と言われたことがありました。私にしてみれば、田んぼを写しただけの何てことのない写真だったんですけど。そのとき思ったのは、風景はみんなの何かにつながるんだなと。
展示準備をしていると、いろんな方が声を掛けてくれるのも楽しいです。「またやるんやね」とか、「楽しみにしとうよ」とか。最近、狛犬をテーマにした展示もやってるんですけど、「あそこの神社にこんな狛犬おるで」みたいに教えてくれることもあります。「なんで、あの神社の写真がないねん!」と怒られることも(笑)。そういう声が次の展示のヒントになることもあります。
気がついたら30回続いてたですね。もう、ネタがないなーと思ってたときもあるんですが、今回の展示を準備していて、またアイデアがわいてきたんです。見た人に「ちょっといいひととき」を提供できたら、と思っています。
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