赤穂民報

「絆に感謝」一日美術館 今年で最後に(9月19日)

 「水害の教訓と支援への感謝を忘れないために」と東有年の元小学教諭、寺内まみさん(68)が2004年水害の翌年から毎年「秋分の日」に自宅を一般公開して行ってきたメモリアルイベント「有年の里一日美術館」が今年も9月23日(月・祝)に開かれる。15回目となる今回が最後の開催といい、夫の一成さん(68)と協力して心を込めて準備している。
 04年9月29日から30日にかけて西日本一帯を襲った台風21号により、赤穂市内では370世帯が床上床下浸水。中でも東有年地区は浸水が床上1・6メートルに達した家屋もあったほど被害が大きかった。千種川の堤防そばにある寺内さん宅も浸水。車が廃車になり、まみさんが大切に残していた教諭時代の資料も台無しになった。
 行政による「公助」がなかなか届かない中、友人や知人をはじめ多くの人が救援に駆け付けてくれた。「感謝の気持ちを伝えたい」と、まみさんは一年後、穏やかな姿を取り戻した地域の自然豊かな風景写真や上郡町内に工房を持つガラス工芸作家の長女夫婦の作品などを自宅の応接間や和室、廊下に飾り、お世話になった人たちを招待した。
 翌年以降も毎回テーマを設定して展示する写真を準備。3回目からは音楽家を招いたホームコンサート、生演奏をBGMにした絵本の読み語りなども加えた。「帰り際に『良かったわー』『また来年ね』と言ってくれるのがうれしくて。それに、何より自分にとって一年で一番幸せな時間でした」。昨年までの通算で延べ1000人近い人が来場。しかし、夫婦で話し合い、「もうそろそろかな」と今年を区切りにすることにした。
 以前の取材に「水害で物は失いましたが、人と人とのつながりのありがたさに気付きました」と語ったまみさん。今年も出会いに感謝して来場者を出迎えるつもりで、「有年の自然のすばらしさも感じてほしいので、当日は何とかいいお天気になって」と好天を願っている。
 午前9時半〜午後4時で入場無料。午後1時半から約1時間、ピアノとチェロなどのミニコンサートを催す。写真とガラス作品展は9月30日(月)まで。Tel49・3320(寺内さん)。

(今年で最後となる「一日美術館」へ向けて準備する寺内まみさん)

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