赤穂民報

関福大リレーコラム・「なぜ、勉強するのか?」を考える(11月9日)

 子どもから「なぜ、勉強しなければならないの?」と質問されたら、あなたはどう答えるでしょうか? 「おまえの将来のため」「お金を儲けて生活に困らないため」などと、適当な理由を並べてはいないでしょうか? 
 幼いうちは、良い成績をとったり、出来なかったことが出来たりすれば、大人から褒められ、それが嬉しくてさらに頑張ることもできるでしょう。しかし、だんだんと自意識が育つと、子どもは、「なぜ、勉強をしなければならないのか?」と考えはじめます。その時に、勉強の目的や意義がしっかり掴めれば、さらに頑張れるでしょうが、それがわからないと、まさに嫌々ながら「強いて勉める」ことになります。
 そういう時こそ、大人が勉強の目的や意義を伝えてやるべきでしょうが、前回、「教育のパラドクス」についてお話したように、実は、大人も深くはわかっていないため、ついつい誤魔化してしまうのです。それでは、子どもは「自分の将来にどう役立つの?」「お金儲けにどんな意味があるの?」…と、次々に疑問が生じ、納得できないことでしょう。
 「なぜ、勉強するのか?」―それを考えるために参考になるのが、「教育基本法」(1947年制定、その後2006年に全面改正)です。この法律は、わが国の「教育憲法」とも呼ばれ、学校・家庭・社会のあらゆる場における教育の在り方を定めています。第一条では「教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない」と、書かれています。細かな解釈では論争もあるのですが、要は、わが国の教育目的は「人格の完成を目指す」ことと、「平和で民主的な国や社会をつくる」ことができる、「健康な国民を育てる」ことだとしています。
 「人格の完成を目指す」とは、易しく言うと「自分のなりたい自分になること」を「いつまでも追い続ける」こと。つまり、「自分の夢や志をもち、その実現を追求し続ける」ということです。そして、そうすることが、自分のためだけでなく「皆が幸せに生きられる国や社会づくり」に繋がるようにしよう、ということでしょう。 「自分の夢や志は何か?」「その夢や志の実現が、自分のためでもあり、皆のためにもなるためには何をしなければならないか?」―それを子どもと一緒に話し合うことが、結局、大人も子どもも、勉強の目的や意義を自覚し、積極的に勉強することになるのではないでしょうか。(秋川陽一・教育学部児童教育学科教授)

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