赤穂民報

メッセージずしり 言葉の石オブジェ(1月1日)

 坂越の観光名所の旧坂越浦会所に詩や教訓などを毛筆した石のオブジェが複数並んでいる。訪れた観光客から「心がほっこりする」「元気をもらえた」などと好評だ。
 作ったのは同施設管理人の小倉千恵子さん(78)=坂越=。2001年に管理人になったころ、観光客に立ち寄ってもらおうと、「『歩』の字は「少し止まる」と書く」と空き箱に書いて玄関先に置いたのが始まり。数年後に建物前の道路整備で廃棄されることになった古い石材をもらって書き直したところ、観光客が写真に撮るようになったという。
 若いころに勤めていた時計店で、客の注文に応じて「祝結婚」などと金粉で文字を書き入れるサービスをしていたという小倉さん。そのころを思い出し、形の良い自然石を見つけては好きな詩や言葉を書いて会所の部屋の隅に置いてみた。すると、誰かが写真に撮ってインターネットで紹介したようで評判に。オブジェを目当てに訪れる人も出てきたという。
 「先祖からつながる命を今の私が生きている」「昨日を忘れ 今日を喜び 明日を楽しむ」「欲ふかき人の心と降る雪は積るにつれて道を失う」。書く言葉はさまざま。「人から教えてもろたり、テレビや本で見たり、ふと思ったこととか。『いい言葉やな』思たら、メモしといてね」。「ツバメさん いらっしゃい」は頭上から落ちてくるフンへの注意をさりげなく伝える心配りだ。
 下書きはせずに、いきなり筆で書き始める。「石の大きさや形を見てね。メモしてる中から、合いそうな言葉を選んで。私、欲張りやから裏にも別の言葉を書くん。そしたら楽しみが2つになるから」。
 石は凹凸していて書きにくくないですか、と尋ねると、「でこぼこがあるからおもしろいんよ。人生といっしょ」と笑った。

(詩や教訓を書いた石のオブジェと作者の小倉千恵子さん)

カテゴリ・検索
トップページ/社会/政治/文化・歴史/スポーツ/イベント/子供/ボランティア/街ネタ/事件事故/商業・経済/お知らせ

読者の声
社説
コラム「陣太鼓」
絵本の世界で旅しよう
かしこい子育て
ロバの耳〜言わずにはおられない
赤穂民報川柳
私のこだわり

取材依頼・情報提供
会社概要
個人情報保護方針

赤穂民報社
analyzer