赤穂民報

《西有年産廃》「『心配ない』ともっていけるか」知事発言(1月1日)

 西有年産廃処分場建設計画をめぐり、許可権者である井戸敏三・兵庫県知事が幹部職員との会議で、計画に「断固反対」を表明している牟礼正稔・赤穂市長に関し、「『牟礼市長が反対と言っていたのは懸念があったからだが、懸念が払しょくされたから心配ない。』というような形にもっていけるかどうかだ」と発言していたことがわかった。

 また、「専門家会議の前にそれなりにこちらでシミュレーションしておいて、それから専門家会議を開くのがいい」とも発言。これらの発言を記述した発言録は「知事協議記録」の件名で関係部署に配布され、公文書として担当者たちが共有していた。

 発言録は昨年7月4日に井戸知事、金澤和夫副知事、環境部長、環境整備課長、西播磨県民局長、環境参事の6人で約40分間行われた話し合いのやり取りを活字化したもの。文書の存在を知った「播磨自然高原地区連合自治会」と「赤穂の環境を守る会」が昨年12月に記者会見を開き、要旨を明らかにした。両団体によると、昨年7月中旬、同計画の事前協議書を内容確認するための訪問先で県の担当課が保管しているファイルに綴じられていたという。

 発言録では、牟礼市長が産廃処分場計画反対を公約に当選したことを踏まえ、知事が、「『牟礼市長が反対と言っていたのは懸念があったからだが、懸念が払しょくされたから心配ない。』というような形にもっていけるかどうかだ」と発言。さらに、災害時対応や景観問題、アクセス道路設置など計画を進める上で予測される課題について話し合いを重ねた後、「専門家会議の前にそれなりにこちらでシミュレーションしておいて、それから専門家会議を開くのがいい」と述べている。

 別の場面では、知事が「地元が問題にしているのは最終的に水質でしょ?」と切り出し、「災害で防水シートが破れても流れ出ないようにすればいい」と対策を提案。県民局長が「下手側の調整池をしっかり準備する方法がある」と応じると、「高砂のPCBみたいに防水杭を打つとか」などと具体的なアイデアを出した様子が記されている。

 また、予定地について課長が、「地区としては西有年だが、この周りに家自体がない。一番近い所でも上郡から1キロ位離れた所にしか家はない」と説明したのを受け、知事が「赤穂が上郡に割譲したらいいのでは」と言及。赤穂市側の自治会が計画に反対している一方で、上郡町側の自治会が「誘致」を表明していることを踏まえた発言とみられる。

 県は赤穂民報の取材に、「事業計画に賛成、反対の両者の立場を考えて、様々な状況を想定して課題等について話し合った」などと「知事協議」があったことを認めた。発言録については、「記録作成者が協議結果の記録を作成する過程で、個人的に起こした一時的な作成途中の資料」などとしつつも、複数の関係部署が共有した公文書であることを認めた。

 両団体は会見で、「極めて具体的で生々しい会話の記録で、兵庫県がいかにこの計画をバックアップしているかが浮かび上がってくる」と指摘。「井戸知事の発言は、まるで産廃業者としか思えない。まさに『知事案件』だ」と県政トップへ批判の矛先を向けた。

(知事の発言を記録した発言録について会見で説明する「赤穂の環境を守る会」)

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