赤穂民報

【社説】市議だからこその支援ないのか(5月16日)

 「新型コロナで、議会は市民のために何か取り組んでくれているのでしょうか」という問い合わせを読者からもらった。

 議会に取材したところ、「市民の不安を払しょくするために市議会として何ができるか」を話し合うために、4月30日に急きょ会派代表者を招集し、「打ち合わせ会」を開いたのだという。主な協議内容は、▽政務活動費の一部返納▽議員報酬の削減▽行政視察の取り止め―について。これらはその後も協議を続け、▽政務活動費は10万円以上残す▽今夏の期末手当(ボーナス)を20%削減▽行政視察は取り止める―との方向で決まった。

 打ち合わせ会では、「議会が市民からの相談に応じる電話相談窓口を設けては」という案も出たらしいが、「結局、市職員につないで二度手間になるだけ」などとして立ち消えたという。5月8日に正式な「会派代表者会」があり、市民向け相談窓口については、議会ではなく市当局が設置するよう市長に要望することでまとまった。

 新型コロナに関しては、「いろんな支援制度があるのは知っているけれど、窓口がばらばらで、どこに行けばいいかわからない」「コールセンターに電話をしても、まったくつながらない」といった声をよく聞く。そういった相談に総合的に応じる身近な窓口がないのが実状だ。市役所は感染拡大防止のため職員の分散出勤を継続しており、人手に余裕がある状況とは言えない。

 議会による電話相談窓口の設置に消極的な理由について、ある市議は「それぞれの議員が支援者からの相談に乗っている」「議員よりも市職員の方が全般に精通している」と言う。こうした考えは、議員とつながりを持たない市民を見捨て、市議の存在価値を自ら貶めるもので大変残念だ。

 市議には、市民の意見や要望をくみ取って市政に反映することに努め、市当局で手に負えなければ県や国に意見・提案するという役割があるはずだ。電話相談は支援者以外の声も幅広く聴ける機会にもなる。報酬の削減や政務活動費の返納も一つの取り組みではあるのだろうが、お金ではない、市会議員だからこそできる取り組みがあるのではないだろうか。

 それと、もう一つ指摘したいのは、4月30日の「打ち合わせ会」が非公開で行われたことだ。議会事務局によると、「会議の1週間前までに開催を通知する『慣例』があるため、公式な会派代表者会としては開催できなかった」という。

 この理屈だと、例えば災害による緊急対応を協議しなければならないような場合も、議事録が残らない非公開の場で議会の方針が決められることになる。
 これでは、「議会の活動が見えにくい」と批判されても仕方がない。

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○赤穂民報から訂正とおわび
 この記事で、政務活動費について「10%以上残す」とあったのは、正しくは「10万円以上残す」でした。現在の記事は修正済みです。
 記事掲載前の確認が不足していました。訂正の上、お詫びします。

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