赤穂民報

商工業者中心に追加支援求める声【一部既報】(5月30日)

 赤穂市が「市民生活及び市内経済活動を支援するため」として、「上水道料金4か月分無料」を柱に実施を決定した新型コロナウイルス対策に、商工関係者から「経済活動の支援には不十分」などと不満が出ている。市は追加の補正予算案の上程を準備しているとみられ、その動向が注目される。
 赤穂市内では今月、東浜町のスポーツ用品店が破産。主な販売先だった学校が新型コロナで臨時休業した影響が大きかったとされる。商工関係者の間では、「早く救済しなければ、さらに倒産する事業所や事業の存続をあきらめて廃業するところが出てくる」と危機感を募らせる。
 上水道料金の無料化について市当局は、「厳しい財政状況の中、できる限りの施策を組んだ。面倒な申請手続き不要で、幅広く迅速に支援できる」とメリットを強調する。市民の間には「水道料なら平等」「大家族なのでありがたい」と歓迎する声もあるが、商工関係者には「日本一安い水道代を無料にしてもらっても大した支援にはならない」「近隣自治体と比べて貧相」などとおおむね不評だ。「感染拡大をストップするための犠牲になったのだから助けてほしい」「事業所を守ることが従業員の雇用や取引先を守ることにつながり、まち全体のためになる」などと、より手厚い支援の必要性を指摘する声が多い。
 赤穂商工会議所によれば、地域経済に目に見えて効果が波及するような取り組みを5月補正予算案に盛り込もうと市と協議を進め、「ほぼ内容も固まっていた」という。幹部の一人は「ふたを開けてみると何もなかったので本当にがっかりした」と失望を隠さない。市単独の経営継続支援金制度や消費喚起事業などを求める要望書を急きょ市に提出した。
 こうした声を受け、22日の臨時議会では家入時治議員(政翔会)が水道会計補正予算案に「反対」を表明。上水道料金無料化のために使う交付金5600万円について、「事業継続が危ぶまれる事業者を集中的に支援するために活用するべき」などと訴えた。議案は賛成多数で可決されたものの、議長輩出会派の代表でもある議員の造反は極めて異例で、一石を投じた形となった。
 他方、「事業所にいくらお金を支援してもきりがないのでは」「市の財源は無限ではない」「商売がうまくいかなかった責任を行政に求めるのはおかしい」などと事業所向けの支援に慎重な見方もある。
 牟礼正稔市長は5月臨時議会終了後、赤穂民報の取材に、「さまざまな声があることは率直に受け止めたい。特別職と議員の期末手当削減分に県の補助も組み合わせ、6月議会(6月9日開会予定)に市単独の地域経済支援策を上程する。国の追加補正が決まれば、さらに施策を拡充追加できるように準備する」と語った。
 追加支援策の早急な決定と実行を求める市民有志のネット署名運動も行われ、28日に市当局と議会に「要望書」として提出された。国が第2次補正予算案を閣議決定した中、市がどのような追加策を打ち出すのか、また、議会がどう対応するのかに関心が高まっている。

(新型コロナ関連で近隣自治体が独自に実施する事業者・家計支援策(5月25日まで決定分))

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