赤穂民報

相生市とのごみ処理広域化「見送り」(9月5日)

 赤穂市が2028年度の供用開始を目指して検討してきた相生市とのごみ処理広域化をめぐり、赤穂市は相生市から提示された完全民間方式によるごみ処理事業への参画を見送った。
 相生市側は単独でも事業を進める方針を固めており、赤穂市は別の方策を見出す必要に迫られる。現行施設の耐用年限が迫る中、厳しいスケジュールを強いられそうだ。
 相生市が事業概要などをまとめた資料では、事業名は「地域エネルギーセンター事業(仮称)」。廃棄物処理プラントメーカーの神鋼環境ソリューション、廃棄物処理大手の大栄環境などに自治体を加えたSPC(特別目的会社)を設立し、一日200トン処理できる焼却炉(100トン2基)を24時間運転。一般廃棄物だけでなく建設廃材なども混焼し、発生する熱エネルギーを利用して発電した電力を場内利用や売電に活用する。相生産業高校から南へ約1キロの辺りにIHIが所有する用地を候補地としている。相生市環境課によると、施設の建設や稼働後のメンテナンスの費用は企業側が負担。自治体はごみ搬入量に応じて処理費を支払う。
 ごみ処理広域化をめぐっては、焼却施設の集約によるダイオキシン削減などを目的とする国の方針を受け、1998年度末に「兵庫県ごみ処理広域化計画」が策定。新たに広域化する県下11ブロックの一つに「相生・赤穂ブロック」が設定された。両市は2015年度に設置した連絡会で調査・検討を経て19年3月に「スケールメリット等を考えると、広域でのごみ処理施設整備が望ましい」などとする基本構想をまとめた。
 しかし昨年8月、事業推進へ向けた実現可能性調査費を得るための国への補助申請が不採択に。計画が暗礁に乗り上げた中、基本構想の策定に携わったコンサルタント会社から完全民間方式の具体的な提案があり、同年11月から企業主導の検討委員会がスタート。今年3月までに計5回開かれ、赤穂市はオブザーバーとして参加し、事業参画の是非を模索してきたという。
 相生市が現在運用しているごみ焼却施設は老朽化に伴い2027年度末で廃止予定。赤穂市の施設は大規模改修で延命化を図ったものの25年度末で寿命を迎えるとされている。28年度の新施設稼働に間に合わせるために事業方向性決定のリミットに設定した今年度末まで残り8か月を切った中、相生市は先月17日、「(赤穂市が)明確な意思表示をされていないため、施設整備等の計画を設定しきれず大変苦慮している」などとし、地域エネルギーセンター事業への参画意向を8月末までに回答するよう文書で要求。センターへのごみ搬入条件として、▽赤穂市の市民、事業所の直接搬入は不可(赤穂市が自市の中継基地で積み替えて搬入は可)▽可燃ごみに限定▽1トンにつき1000円の環境手数料を支払う―などを提示した。赤穂市は「検討委員会による検討結果が示されていない現時点での事業参画についての判断は致しかねる」「市民及び議会に説明する機会の無い中、理解を得ることは困難」などと参画見送りを28日に文書回答した。
 参画を見送った理由として、赤穂市は「(ごみ処理料など)委託契約の内容がまったく示されていない。その中で回答を求められれば、『見送る』としか答えようがない」(美化センター)と説明。検討委の内容については「守秘義務協定を結んでいる。資料も会議終了後に回収され保有していない」として明らかにしていない。
 相生市は「細かい積算をするまでもなく大きなメリットがあるであろう事業と認識しているが、赤穂市には赤穂市の事情があるのだろう。致し方ないと受け止めている」(環境課)と話した。市民への説明を進めつつ、来年度にも計画・設計と並行して測量・地質調査に着手する予定で、当初計画から一年遅れの2029年度供用開始を目指すという。
 ▼牟礼正稔市長=「提示された条件だと、ごみ処理有料化も視野に入れなければならず市民サービスが低下するため参画を見送った。連携企業に大栄環境が入っていた影響はまったくないとは言えないが、さほど重視していない。今後は他の近隣自治体との広域化や近隣事務組合への委託のほか独自に施設を建て替えるプランなども検討し、市民にとって最もメリットのある選択をしたい」

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