赤穂民報
関福大リレーコラム・メディアリテラシーが家族を救う(10月3日)
メディア(情報媒体)からのメッセージを、主体的・批判的に読み解く能力のことをメディアリテラシーと言います。最近はリテラシーの種類も細分化されてますが、リテラシーとは読み書き能力のことです。
スマートホンによるインターネット利用が一般的なものになり、SNS(利用者同士が交流できるサービス)で誰でもコメントを発信できるようになると、デマやフェイク(嘘)ニュースが世間を騒がせるようになりました。
ある人物がデマを発信する理由は「注目されたい(承認欲求)」「世間を騒がせたい(愉快犯)」「誤解や早とちり(善意の拡散)」「自分の利益のため(出世や株価操作など)」様々ですが、気軽に投稿できるツイッターでは、発信者が何者なのか分からないため、流れてきた情報を鵜呑みにしてそのままリツイート(再投稿)すると、デマの加害者になってしまう恐れがあります。
トイレットペーパーがなくなる、というデマが拡散し社会を混乱させたのは記憶に新しいところですが、このデマをなぜ多くの人が信じてしまったのかは「交差ネットワークによる二度聞き効果」が絡んでいます。その情報の根拠が曖昧であっても、他のSNSでも話題になっていた、テレビで商品棚が空っぽの映像が流れたなど、交差する複数の媒体から同じ情報をキャッチすると、真実と確信してしまう心理が働き、そこに確証バイアス(自分の都合に合わせて情報を解釈する心の動き)がかかり、パニック行動を引き起こすのです。
そして個人のパニックは群衆の中で集団パニックを誘発します。メディアは人が作るものですから、そこに示されている情報には必ず何らかのバイアス(偏向)が含まれています。報道であれば、ある部分を分かりやすくクローズアップし、犯人は悪そうな顔、被害者は悲しそうな顔、観光地では皆楽しそうな顔、といった具合で、人がたくさん並んでいるラーメン屋の映像を見れば、おいしい店に違いないと思います。
それが新聞やテレビであれば、厳しいルールに基づき報道されるため、一定の信ぴょう性はありますが、インターネットメディアはまさに玉石混交です。
ネットで気になる情報を見かけた時や、情報が回ってきた時、「この話の最初の出どころはどこかな」「デマじゃないかな」と、家族の皆さんでエビデンス(根拠)を探る習慣をぜひ身に付けていただいて、被害者にも加害者にもならない充実したITライフを送ってください。(教育学部教職支援室准教授・石原義行)
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