赤穂民報

「いずれモンゴルで国際協力を」奥田美咲さん(10月31日)

 独立行政法人国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員として2018年にモンゴルへ赴任した城西町の作業療法士、奥田美咲さん(32)が今月16日に任期を終了した。
 首都ウランバートルの国立病院で医療現場に携わりながら、新人の作業療法士に技術指導。世界的な新型コロナウイルス感染拡大の影響で帰国を余儀なくされた後も、日本から活動を継続した奥田さんに2年間の活動について話を聞いた。
 * * *
ー2年間を振り返ってください。
 「モンゴルでは私が赴任した年に作業療法士の資格制度が創設され、4年間勉強して資格を取得した人が、私の赴任先の病院にも入職してきたんですね。さらに翌年にもう一人。二人とも、とても優秀で勉強熱心だったので本当にやりやすかったですね」
ー活動の中で一番うれしかったことは何ですか
 「それまでは作業療法の専門知識をもった人材がいなかったため、作業療法学科の学生が実習に来た時にいきなり現場の仕事を任されることがあったんです。私が指導した2人が後輩の学生たちに対してきちんとやり方を教え、一緒に患者さんを診るといった日本的な教育を取り入れてくれて。それがすごくうれしかったです」
ー新型コロナの影響で任期途中での帰国となりました
 「モンゴルで活動を続けたかったのですが、3月中旬に全世界に派遣されているJICA関係者の安全対策として、避難一時帰国を命じられました。命じられた3日後には飛行機で現地を離れました。ゴールデンウイークのころには再びモンゴルに戻れるつもりで、荷物も置いたままにしていたんですけど、5月に住居を引き払うことになったと連絡があり、もう帰れないかも知れないと思いました」
ー残りの任期はどのように過ごしたのですか
 「JICAのオンライン講座でモンゴル語の勉強を続けつつ、SNSで活動先の同僚と連絡を取り合って診療業務に関するアドバイスを行ったり、リハビリテーションに関する情報をモンゴル語と日本語で発信するフェイスブックのページを後輩隊員と協力して開設したり、自分にできることを続けました」
ー今後の展望を教えてください
 「また作業療法士として働こうと思っていますが、いずれはモンゴルで国際協力プロジェクトに関われるようになりたいです。例えば、リハビリテーションのOJT(現場実務訓練)を推進するプロジェクトがあれば、ぜひ応募したい」
ーモンゴルで初めての作業療法士学会を開催したいともおっしゃってました
 「実は今年7月にウランバートルで開催される予定で、私も発表させてもらえることになっていたのですが、コロナの影響で中止になってしまいました。本当に残念で。。。しばらく先のことになるかも知れませんが、学会が実現するときには、ぜひ参加したいと思っています」
ーモンゴルに行って良かったですか
 「最初の半年くらいはモンゴル語に苦戦してうまくコミュニケーションが取れなかったり、想定以上の文化の違いに直面したりで、日本に帰りたいと思ったこともあったんですけど、今ではモンゴルに住みたいなと思うくらい好きになりました。特に、直接関わった同僚の2人とは一生の友人になると思います」

(モンゴルでの技術指導の様子)

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