赤穂民報

《西有年産廃》上郡町の住民投票条例案 町議会が否決(1月20日)

 上郡町議会は20日、産業廃棄物最終処分場建設計画への賛否を問う住民投票条例案について、賛成少数で否決した。議長を除く9議員の起立による採決で、賛成は4人だった。
 条例制定をめぐっては、同計画に反対の立場をとる住民団体「上郡産廃問題対策協議会」が有権者の53%に及ぶ有効署名6773筆を添えて今月8日に直接請求した。条例案は「町民の意思を確認し、もって民意を反映した選択をすることにより、美しく豊かな自然に恵まれた安全安心な住みよい豊かな町づくりに資する」ことを目的に条例施行から6か月以内に住民投票を実施するなどの内容。遠山寛町長は「これらの民意は当然尊重すべき」とした一方で「住民の意思確認の他に法的に何ら意味をなすものではない」などと意見を付けて議会へ付議した。
 この日は請求代表者3人のうち2人が議場で意見陳述。「過半数の署名を十分重く受け止めていただきたい」などと条例案可決を訴えた。質疑の後に行われた討論では、「町民全体の奉仕者の議員として自分が今まで取り組んできた方向が町民の思いと乖離していないか確認できる非常によい機会」「町の将来を考える大事では住民の意思を問うことは一つの手段として必要」「(署名した)住民の数を尊重したい」などと3議員が「賛成」を表明。一方、「反対」の立場では、「条例が可決すれば企業誘致の足かせになる」「情報量の乏しい状態で全て住民任せにする行為は議会に対する信頼を損ねる」「人と人との間に禍根を残し分断を招くだけ」「財政的に厳しい中での(投票費用の)多額の財政出動など上郡町に何の利得があるのか」などと4議員が意見を述べた。残りの議員は発言がなかった。
 条例案否決を受け、同協議会の澤田正治事務局長は「議会が住民の声を聴くことを拒否したら民主主義は終わり。残念な結果だが、次に向かって進みたい」とコメント。また、遠山町長の意見書について、「産廃計画に対し、『消極的な反対』から『賛成』に変わった宣言に思えた」と指摘した。
 遠山町長は採決後の議場でのあいさつで「署名をされた方々の思いを真摯に受け止め、法的または合理的な根拠をもって対処していきたい」と述べた。閉会後の報道陣の取材には「否決は想定していなかった。議員が非常に真剣に考えた上での結論だ」と所感。住民投票を求めた署名を「実質的に産廃計画に対する反対の声」との認識を示し、「これだけ反対が多いということを県にも伝えたい」と語った。
 自身の意見書については「住民投票や署名をないがしろにしたのではない。住民投票自体が許認可に何か影響するのかと言えば、まったくしない」と断言。今回の結果と今夏の町長選・町議選との関連を問われると、「はっきり言って影響すると思う」と推測した。

(町民から直接請求された住民投票条例案を否決した上郡町議会)

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