赤穂民報

《浄水施設担当課長汚職》「深く深くお詫び」牟礼市長が謝罪会見(1月23日)

 赤穂市公共工事をめぐる贈収賄事件で職員の逮捕を受け、牟礼正稔市長は23日に市庁舎で会見。「市民の皆様には、心より深く深くお詫びを申し上げます」と陳謝した。
 会見は市役所6階大会議室で午後6時から始まり、牟礼市長はじめ幹部職員が出席した。
 牟礼市長は、「一昨年の不祥事発覚以降、全庁をあげて全力で再発防止に取り組んでいる最中、度重なる不信を招く結果となり、市民の皆様には、心より深く深くお詫びを申し上げます」とおわびした。
 「現時点においては、詳細は不明ではありますが、今後の警察当局による捜査等の動向を見守るとともに、事実関係が明らかになった段階で、厳正に対処してまいりたいと考えております」と述べた上で、「この度の職員逮捕という事実を重く受け止め、今までにも増して服務規律の遵守と綱紀の粛正を徹底し、市政に対する信頼回復に全力で取り組んでまいります」と語った。
 記者会見の要旨は次のとおり。
 * * *
ー今回の捜査を知った時期は

牟礼正稔市長:副市長から16日土曜日、電話連絡があり、そういう事態が発生してることを知った。

ー16日以前は市としての把握はなかったのか

市長:全く知らない。

藤本大祐副市長:(逮捕された)課長が特定の業者と業務上良くない繋がりがあるという話があり、昨年9月28日に本人に聞いた。その段階では「そういう事実はない」ということを本人が話した。そのときに、別の業者からビールと缶ジュースのセットをもらったことがあると申し出があった。

ー業務上良くない関係とは、具体的にどういう内容で、誰から聞いたのか

副市長:どなたからというのは、ここでは申しあげられない。内容については、特定の業者からお金をもらっていると。本人に確認したが、「そういう事実はない」とのことだった。

ービールとジュースがセットになったものをもらったのは別の業者からか

副市長:別の業者。ビールとジュースをもらったことは認めたので、昨年11月27日に訓告処分とした。

ービールとジュースをもらった時期は

副市長:本人の申し立てでは、2014年8月ごろ。

ー結果としては調査が甘かったのでは

副市長:そうかもしれない。

ー課長について、お金のやりとりを業者としているという噂が聞こえたのはそのときが初めてだったのか。これまでの勤務態度は

副市長:そういう噂が以前からあったのは事実。

永石一彦上下水道部長:ベテランの技術職員で、専門的な知識を持っていたし、人当たりが良いところがあったので、皆に慕われるような感じだったと思う。噂は、私は耳にしたことはなかった。

ー2018年4月に課長になる前から噂はあったのか

副市長:耳に入ってきたことはある。

ー本人に聴き取りをしたのは昨年9月が初めてか

副市長:現実に見た人がいるとか、そういう情報もあり、重く受け止めた。

ーもっと早く調査をしておくべきだったと思うか

副市長:(噂を聞いたのは)20年も30年も前の話で、当時の管理者がどのような判断をしたかわからない。

ー設計書を書き換えることを独断的にできるような形だったのか。チェック機能は働いてなかったのか

市長:今現在は2人体制でチェックするとか、パソコン開くときはIDを持つとか定めているが、担当課長兼係長という立場であり、結果として本人自身だけでできる要素があった。反省すべき点があると思っている。(不正防止)マニュアルを成分化して徹底していこうとしたのが昨年9月で、それ以前については、そこまでできていなかったのが正直なところ。今後、そういうことのないように徹底していきたい。

ー現行制度であれば、同じような事案が起きかけた場合に、誰かがチェックして確認できる体制に変わってるということか

市長:制度上はなっている。ただ、課長兼係長という立場だったので、どう改めていくべきか反省がある。

ー今後は制度を改めていくということか

市長:現行制度でも今回のケースは防げたと思うが、一人の人間が課長と係長を兼務しており、最終的に一人だけで(不正が)出来てしまうので、本当の意味でダブルチェックできるような形でやっていきたい。

ー赤穂市では2000年以降、市職員の不祥事が相次いでいる。市役所内の体質の問題なのか

市長:正直言って、頻度が高いと思っている。改めるべき点がたくさんあることは私自身も自覚している。取り組んでいる最中に、こういうことが発覚したのではなく、なされたということは、私としてはより残念で本当に断腸の思い。今回の事態を踏まえ、綱紀粛正と職務規律の確保をもう一度徹底する。もう一度、全体の奉仕者としてのあり方を職員に訴えていきたい。

ー市長在任中2度目の職員逮捕。市長の責任は
市長:警察当局の捜査が続いており、事実関係がはっきりした時点で本人はもちろん、私もそれなりの処分をする。

ー今回の事件は、どちらの方から働きかけたのか

市長:そこは全く聞いていない。わからない。

ー情報によると、工事に関わる仕様書を西川課長が自分の権限の下、変更したと思われる。上長は気付くのか。どういうふうに変更したのか。

上下水道部長:発注した設計書と以前の設計書との違いを把握できていなかった。まさか、改ざんされているとは思ってもみなかった。

市長:配水池に設置するステンレス製の貯水槽を、実施設計ではA社のものになっていたが、発注時にはB社(森松工業)の仕様で決裁を受けて発注していた。配置図もA社からB社へと変更していたようだ。書類上は整っており、設計価格もそのままなので決裁段階ではわからない状況。警察から話がなければ全くわからなかった。

ー実施設計書、発注書の決裁時期は

副市長:実施設計業務は2019年9月6日から翌年2月28日までの工期。工事は2020年7月7日スタートで、同年6月26日に入札。さらに、その前の同年5月20日に議会の委員会に協議をかけている。昨年5月には、だいたい設計が固まっていたと思う。

ー決裁はどこまで上がっているのか

副市長:実施設計書は部長、工事については市長。

ー実施設計と発注の段階と両方見ている部長は、変更には気付かなかったということか

上下水道部長:本当に申し訳ないが、全く気がつかなかった。

ーA社とB社(森松工業)のタンクの性能、品質は変わらないのか

市長:変わらないと考えている。製造方法が違うということは聞いているが、貯水槽の性能とすれば何ら支障はないものと考えている。

ーこの工事はこのまま森松工業のタンクが据え付けるられるのか。

上下水道部長:特に問題なければ、そのように工事は進んでいく。

ー課長は今回の工事で何を担当していたのか

部長:設計を担当し、主務者という位置付けだった。設計積算の担当者で、この工事の主務者ということ。

ー業者(森松工業)との関係は

市長:どういう繋がりがあったのか、我々としては把握できていない。

ー特記仕様書はどういう内容のものだったのか。森松工業の製品を使わないと駄目だというような仕様書になっていたのか

上下水道部長:(書き換えられた)仕様書に基づいて工事を発注することで便宜を図ったと言われているので、おそらくそういうようなことではないかとは思うが、詳細は今の段階ではわからない。

ー(警察に資料を押収されて)今手元にないからわからないということか

上下水道部長:そうだ。

ー森松工業の製品が、その他の赤穂市内の工事で納入された実績はあるか

上下水道部長:最近ではないと思う。過去にあったかどうかはわからない。(※平成29年度野中・砂子公園整備工事で耐震性貯水槽の納入実績があったと市が27日に公表)

ー逮捕された課長の16日以降の勤務状況は

市長:16日以前は通常勤務していた。18日以降は欠勤扱いとなっている。

ー借金があるとか、家庭の問題を抱えているとか、どういう趣味、嗜好を持っていたのか

上下水道部長:話をしてもほがらかな感じの職員。趣味は一緒に行動したことがあまりないので、わからない。そういう話を職場であまりしない職員だったので、わからない部分もあった感じはする。

ー過ちが繰り返される連鎖を断てないのはなぜか

市長:いくら制度とか仕組みを作っても、魂が入らなかったら絵に描いた餅で機能しないので、私も含めて職員は真摯に反省する問題であると考えている。いろんな工夫をして再発防止に取り組んできている最中で、指導すべき管理職が(不正を)やったということは非常に残念で、どんな対応策があるのか正直悩んでいる。しかし、問題点はいくつかははっきりしている。複数のチェック体制をとるとか、職員コミュニケーションを図る、あるいは職場環境をもう一度見直す。そういった点をもう一度、反省点として早急に改正していきたい。自分のためではなく、市民のために仕事してるということを職員の皆さんにはもう一度よく考えていただきたい。
 私が就任してから3人の職員が逮捕されたが、それ以前もそうした事件があった。そういう意味では職員の資質が問われる。一人一人は一生懸命取り組んでいるが、逆にこういうことが起こると職員の努力は報われなくなるので、お互い自覚しながらやっていく必要がある。心を一つに合わせれば、時間はかかるが乗り切れると思う。

ー無断欠勤扱いになっているとのことだが、市から本人には連絡はとっていないのか

上下水道部長:本人には連絡を取っていない。16日に任意の事情聴取を受けていると聞いた。

ーそれはどういった理由か

上下水道部長:連絡が取れない状態だったので

ー本人に連絡を取ろうとしても取れなかったということか

上下水道部長:いや、こちらからは取っていない。

ーそれはなぜかという質問だ

上下水道部長:任意で事情聴取を受けていると聞いたから。

ー警察の捜査が入っているから、忖度して本人に話を聞かなかったということか

上下水道部長:捜査の段階だったので、こちらからは連絡を取らなかったということ。

ーそれは捜査機関から止められたんじゃなくて、市側で警察捜査されているから本人に話を聞くのはまずいと思ったということか

上下水道部長:まずいというより、捜査が入ったということで、(連絡を)取らなかったということ。

ー警察から止められたわけではない?

上下水道部長:そういうことではない。

ー仕様書には森松工業という社名は記載されていたのか

市長:されていない。

ー今回の工事で森松工業が関わる金額はいくらか

上下水道部長:だいたい全体の5割程度。請負額が約2億5000万円なので、その半分くらい。

ー仕様書には会社名は書いてないけれども、森松工業のタンクだということが特定できる仕様書の内容なのか

上下水道部長:具体的なことは申し上げられない。森松工業の製品を受注するために仕様書に書いてあるんじゃないかという疑いがかかっているので、そう推察されるということ。

ー噂は現実だったと言えると思うが、西川課長以外で同じような噂はないのか

岸本慎一総務部長:私はそれ以外は聞いていない。

副市長:私も聞いていない。

市長:私もまったく聞いていない。

上下水道部長:私も同じで何も聞いていない。

有吉央水道課長:私も同じく聞いていない。

ー悪い噂の話を目撃した関係者もいるとのことだったが、どういった行為を目撃したというのか

副市長:情報をいただいたことをそのまま申し上げると、業者から封筒に入ったものを受け取っていた場面を見たと聞いた。
 * * *
 森松工業製の製品が過去5年間(2015〜19年度)に赤穂市に納入された実績について、1月27日、市から追加回答がありましたので、追記します。
 「水道事業以外で、1件(2017年度野中・砂子公園整備工事:耐震性貯水槽)の納入実績が判明しました。なお、全庁的にも調査を実施し、改めて報告させていただきます」

(市職員逮捕を受けて行われた記者会見で頭を下げる幹部職員)

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