赤穂民報
私のこだわり(9)木工製作(2月27日)
◆的場勝さん(77)=周世
元々は大阪(淀川区西三国)で住宅設備の会社を自営しとりました。仲良しのブリキ屋さんが器用な人ですねん。竹をくり抜いて花立てとかにしよる。
40代の後半くらいやったかな。おもしろいからよう見てたら、「あんたもしてみるか」言われて。ブリキ屋がどっからかケヤキの端材とかもろてくる。「おもろいのが手に入ったど」いうてね。2人で作り方を考えていろいろやっとるうちにおもしろなってきて。
家の改修を頼まれたら、いらんようになる木が出るでしょ。そんなん使ておぼん作って施主さんに記念にプレゼントしたら喜ばれた。15年ほど前になるけど、知り合いの書道やってる人から頼まれて筆を吊す台を作ったんや。そしたら、それ見た人が「お金出すから作って」言われて。それが初めて売れたときやな。
こっちに家を買うたのは2000年の2月です。嫁さんとテレビで見て田舎暮らしにあこがれて。豊岡や岡山も見に行ったけど、ここは家が坂を上がったところにあって、水害の心配がない。海があるまちというのも条件に合うた。
屋根裏の棟札に「昭和二年」と書いてあった。中2階がある昔の家。20年以上空き家やったらしい。地元の工務店さんに相談したら「こんなん無理やで」言われて。付き合いのある大阪の大工や左官がわざわざ赤穂まで来てくれて、9か月かけて改修しました。
もの作るときは朝から夕方まで工房にこもる。早いもんやったら3日くらい、手のかかるもんやったら7日はかかる。一年に20くらい作っとるかな。
材を見て何作るか考えるときが楽しい。作っとるときも楽しい。出来たときも楽しい。同じもんはできへんからね。一発勝負。仕上げはペーパーを10種類くらい番手変えて磨く。そしたらスベスベになる。どれも思い入れはあるから、なかなか手放したくない。そういうの分かってくれて、大事に使てくれる人に使ってもらえたらうれしいわな。
子どものときから器用やったかって? 全然。親父は木桶職人やってね。風呂桶とかも作っとった。自分は跡継ぐの嫌やって逃げ回っとった。時代が代わって木の風呂からプラスチックになったでしょ。それで自分は水回りの仕事をするようになった。
親父の仕事を見とった影響はあるんやろな。そこ(工房)の壁にのこぎり何本か掛かっとるやろ。あれ全部親父が使とった道具です。あんなに嫌がっとったのに、今こうやって木を削っとるんやからおもしろいもんやな。
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見学は要予約。コロナ禍のため人数、時間を限定する場合あり。連絡先はTEL080・5779・4126。
(お盆や花器などの作品が並ぶギャラリーと的場勝さん)
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