赤穂民報

関福大リレーコラム・食べる=生きる土台(3)日本の行事食の豊かさにふれる(1月16日)

 4回のシリーズで食べる=生きる土台、として食育に関する3回目の投稿です。
 1月1日(元旦)、年の初めに何を願って朝食を召し上がりましたか? 元旦は、お節料理と雑煮をいただくのが日本のお正月の風景です。しかし、この日本の伝統行事ならではの原風景が、急速に変化をしています。
 近頃では、行事食を家で作らず、購入することが多くなっているようです。「お節料理」を例に見ていきましょう。お節料理は誰が作りますか?の質問に「おばあちゃん」「買ってくる」また、「実家に行って食べるもの」との返答が多く、核家族の独自の風習や、手の込んだ行事食は面倒で作らないようです。この風習が常習化するとだれが次世代にお節料理などの行事食を継承するのでしょうか。
 近頃では、コンビニでもお節料理が売られており手軽に購入ができます。中でもお節料理と名ばかりで、内容は洋風料理や中華料理もあり、何を持ってお節料理なのかがわかりづらいものも多くあります。
 家族が食べずに残してしまう煮物ばかりで飽きるなどの理由から、家族が好んで食べる料理が入っているものを購入しているようです。
 行事食には、日本ならではの食べ物のいわれ(由来)があります。お節料理では、田作り(ごまめ)には豊作、数の子には子だくさん、黒豆にはまめ(健康)に暮らすなど料理それぞれに意味があります。これらには、家族への願い、健康祈願といった想いが込められています。ローストビーフやエビフライは子どもが大好きな料理です。しかし、これらにはいわれもなければ、願いもありません。お正月にオードブルを食べることがいけないわけではありません。しかし、日本の情緒豊かな食文化を誰が守っていくのかと考えると寂しくなります。
 親から子、子から孫といった今まで何年も続いた行事食を今ここで、「おいしくないから」「誰も食べないから」と途絶えさせていいのでしょうか。次の節分の恵方巻は、手作りにチャレンジしてみてはいかがですか。(教育学部児童教育学科准教授・廣陽子)

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