赤穂民報

市民病院 経営形態含め抜本的見直しへ(8月18日)

 慢性的な赤字経営が問題となっている赤穂市民病院について、赤穂市は18日、抜本的な経営の見直しを検討するための外部有識者委員会を設置すると発表した。

 独立行政法人化や指定管理者による運営、あるいは民間譲渡への経営形態の変更も含めて議論するとしている。

 同日開いた臨時記者会見で牟礼正稔市長は、「2019年度終盤から拡大した新型コロナウイルス感染症により、入院・外来ともに患者数が減少に転じ、医業収益の減少となった」と説明。20年度決算見込みは16年連続の赤字となるだけでなく、収支が前年度から約2・2億円悪化し、19年度決算では約1・4億円だった資金不足(債務不良)が約8・5億円に膨らむ見通しを明らかにした。

 同病院の試算では、資金不足比率は19年度の1・8%から20年度は11・2%に悪化する見込み。10%を超過した場合は起債発行に総務省の許可が必要となり、「資金調達が困難になる」(喜多晃事務局長)という。

 牟礼氏は「現在の経営状況のままでは、資金不足の解消は困難と見込まれる」とし、外部有識者による「赤穂市民病院経営検討委員会」を設置し、経営形態の変更も含めた抜本的な経営見直しに着手する。

 検討委では市民病院を取り巻く医療環境や今後の西播磨圏域の医療需要見込み、市民病院の経営状況を踏まえ、同病院のあり方を協議する。8月23日(月)の初会合から4回程度の会合を開き、年内を目途に報告書をまとめる予定。「自由闊達な議論を行うため」として非公開で行い、協議資料と議事録は報告書提出時に公開するという。

 同病院の経営をめぐっては、昨年5月から12月にかけて開いた庁内プロジェクトチームの検討結果を踏まえ、市が今年3月の第1回定例会で「引き続き公立病院のまま経営改善に努める」との方針を示したばかりだった。

 半年足らずで方針を転換したことについて、牟礼氏は「19年度はかなり収益が好転していたが、コロナによる診療控えで予想以上に収益が悪化した」と釈明。経営見直しに関する見通しを問われ、「経営形態によっては職員の処遇の問題も出てくるので、軽々に申し上げることはできないが、これだけ資金不足になれば詰めた議論が必要ではないか」と認識を語った。年内に報告書を受け取る予定について、「来年度当初予算に反映できるものは反映したい。人事上の問題もあるが、できることから取り組んでいきたい」と述べた。

 検討委の委員は次のとおり。敬称略。
 ▽大木善夫(赤穂商工会議所会頭)
 ▽元佐龍(兵庫県健康福祉部健康局医務課長)
 ▽古城資久(医療法人伯鳳会理事長)
 ▽佐藤二郎(兵庫県済生会常務理事兼事務局長)
 ▽中村隆彦(赤穂市医師会会長)
 ▽平田健一(神戸大学大学院医学研究科内科学講座循環器内科学分野教授)
 ▽藤井隆(赤穂市民病院院長)
 ▽藤本大祐(赤穂市副市長)
 ▽平家俊男(兵庫県立尼崎総合医療センター院長)
 ▽村上早百合(神戸新聞社執行役員姫路本社代表)
 ※オブザーバー:兵庫県企画県民部企画財政局市町振興課(市町財政)

(経営形態の変更も含めた抜本的な経営見直しに着手されることになった赤穂市民病院)

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