赤穂民報

《福浦産廃》埋め戻し10年手つかずも県が3度目認可(10月2日)

 兵庫奥栄建設(神戸市灘区、米田憲二社長)が産業廃棄物最終処分場への転用を計画している福浦の採石場跡地。

 すでに採掘活動が完了し、本来なら土地を埋め戻して造成した上で緑化を進めなければならないが、現地には採掘によってできた巨大な穴が10年以上手つかずで残っている。早期の緑化を求める声が上がる中、兵庫県は8月6日、採掘完了後3度目となる事業期間の延長を認可した。

 同社は同採石場での採掘を2010年に完了。その翌年に県へ提出した「緑化計画書」では、採掘で生じた穴約10・8ヘクタールを16年までに埋め戻す計画になっていたが、着手しないまま5年間の事業期間が期限を迎えた。再延長が認められたが、この5年間も埋め戻しは行われていない。

 同社が今回県へ提出した事業認可延長の申請書類では、今後5年間で埋め戻しを完了し、4度目の事業認可延長を受けた上で2年間かけて緑化する、とのスケジュールが示されている。これまで計画通り進んでいないことについて、「現在、各関係先と調整中」とし、決定すれば「許可書および計画書も併せて添付」すると記載。過去の申請時と同様に地元自治会や漁協の「同意書」を添付している。

 今回の延長認可をめぐっては、「赤穂の環境を守る会」が昨年11月、「計画通り埋め戻しに取り組もうとしていないのに延長を認可するのは業者への便宜供与ではないか」などと県に申し入れていたが、県は「埋め戻し計画が延びることは特に問題はない。事業認可の更新回数に制限はない」(光都土木事務所管理課)として認可した。

 ただし、従来は求めていなかった各年の埋め戻し図面を事業者に提出するように指導したのに加え、認可の条件として▽跡地整備を計画的に実施し、早期に緑化を図ること▽関係各所と調整のうえ、埋め戻し計画を実施していくこと▽埋め戻しにあたり、粉塵対策の施設、装置を設置し対応すること―などを追記した。「認可手続きの中で赤穂市に意見照会し、市からの意見を踏まえて条件を追加した」(同課)といい、「埋め戻しと緑化を計画通り実施するよう指導していく」としている。

 一方、赤穂市は同社に対し、キャンプ場や映画撮影場などへの転用を提案。同社によると、実際に今年5月には景観を活用して超大作映画のロケが行われたが、「事業化して採算を得るまでは難しい」(同社)としている。

 埋め戻しと緑化が計画通り行われないまま認可延長が繰り返された現状について、地元住民の一人は「奥栄は採石場跡地を産廃処分場にするつもりなのだから、普通に埋め戻す考えがないことはわかりきっている。はなから実行するつもりのない架空の計画を県が認可するのはどうなのか」と批判的に話した。

 赤穂民報は9月14日、同社に今後の緑化計画の実施方針や予定を質問したが、9月30日時点で「回答を調整中」との返答にとどまっている。

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 兵庫奥栄建設から10月1日付けで回答があり、採石跡地の埋め戻しについて、「現在、兵庫県の関係部局様とその時期も含め協議中です」と回答があった。植樹については、「埋め戻しの後に順次実施することになりますが、埋め戻しについて協議中のため、実施時期などについても未定です」とした。

(緑化計画が提出されながら10年以上、埋め戻されることなく手つかずとなっている兵庫奥栄建設の採石場跡)

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