赤穂民報

市民病院経営改善 議会が特別委設置へ(1月26日)

 赤穂市議会は26日、赤穂市民病院の経営改善について提言した経営検討委員会の報告書について議員全員協議会で協議した。

 公立病院としての存続が提言されるに至った経緯や根拠、今後の取り組みや実現可能性などについて市と病院に質疑した。山田昌弘議長は「議会としても十分審議していく必要がある」として、特別委員会の設置を提案する意向を明らかにした。

 全員協議会には牟礼正稔市長、藤井隆院長をはじめ関係部署の職員が出席。議員からの質問や意見に答えた。

 議員からは「持続可能な経営が可能なのか」「多くの市民が報告書の内容に納得していない」「経営形態の変更を先延ばししたことで取り返しがつかなくならないか危惧する」などと厳しい声が相次ぎ、牟礼市長は「報告書を最大限尊重してやっていきたい。市の財政が許す限り手厚い支援を検討していく」などと表明した。

 また、医療過誤問題については、「係争中」を理由に議論の対象から外されたが、一部の議員から「医療過誤・事故の問題も公の場できちっと話をするべき」との意見があった。山田議長は「会派代表者会、議会運営委員会で検討する」とした上で、市に対し「適切な時期に事実関係を明らかにするとともに、再発防止に向けた取り組み、議会や市民への報告のあり方などをしっかり検討し説明責任を果たしてほしい」と要望した。

 主なやり取りは次のとおり。

 * * *

 ▽藤井隆院長=当院について様々な報道がなされ、市民や患者様をはじめ多くの方にご心配をおかけしていることは遺憾。報告書が政策化されれば経営改善に職員一丸で取り組んでいきたい。市民病院はこれからも皆様の役に立つ病院でありたい。

 ▽釣昭彦議員(新風)=改善策の「市出向職員の段階的削減」は病院から市役所に戻るだけで、効果はあまり期待できないのでは。
 ▽平松孝朗総務課長=市全体としては人件費は変わらないが、病院会計は抑制できる。

 ▽土遠孝昌議員(赤諒会)=今後さらに収益が悪化する可能性もあるが、病院に対する繰入金をどう考えているか。
 ▽牟礼正稔市長=病院の経営安定を目的に、市の財政が許す限り手厚い支援を検討していく。

 ▽家入時治議員(政翔会)=きょうだけで検討を終了することは到底無理。言葉は悪いが今まで何度もだまされている。提言には「絶対できる」とは書かず、逃げ道をいくつも書いている。議長のリーダーシップで議会でも検討を行ってほしい。
 ▽山田昌弘議長=会派代表者会で議論して対応していく。

 ▽南條千鶴子議員(公明党)=「検証に向けた仕組み」はどう構築するのか。病院事業管理者はどのように決めるのか。
 ▽渡代昌孝財務課長=シンプルでわかりやすい仕組みを考えていきたい。公認会計士なども含めた検証の仕組みとしたい。
 ▽市長=(病院事業管理者は)市単独では容易ではないので、関係機関に相談して専任したい。

 ▽中谷行夫議員(赤諒会)=委員会に参加している民間病院経営者から指定管理者への協力表明はなかったか。
 ▽喜多晃事務局長=なかった。

 ▽榊悠太議員(赤諒会)=多くの市民が報告書の内容に納得していないが、この報告書に則り経営改善に取り組むのか。
 ▽市長=報告書を最大限尊重してやっていきたい。

 ▽田渕和彦議員(千種)=地域医療拠点病院になっていることが経営の足かせになっていないか。
 ▽藤田元春医療課長=県の補助金が入っており、経営的に大きな負担にはなっていない。公立病院としてやるべき業務と思っている。

 ▽深町直也議員(共産党)=公立病院としての存続が望ましいとの提言は評価したい。病院としては今後どの程度の金額の支援が必要と想定しているのか。産婦人科の再開は断念するのか。人員削減で業務に支障は出ないのか。
 ▽財務課長=多ければ多いほどいいが、市の財政状況もあり、病院から申し上げることではない。

 ▽市長=周産期医療、小児医療の見直しについては、中央病院とも協議し、適切に対応していく。
 ▽藤木靖成経営企画担当課長=退職者の不補充で考えており、段階的に進める。

 ▽前川弘文議員(公明党)=経営形態の変更を検討するのなら、実際に経営形態の変更に携わった方を加えるべきと思うが、次に検討する場合も今回と同じメンバーで行うのか。
 ▽事務局長=実際に経営形態の変更に関わったことがある方を入れることはあり得る。

 ▽荒木友貴議員(千種)=経営形態の変更を先延ばししたことで取り返しがつかなくならないか危惧する。
 ▽財務課長=一年ずれればそれだけ負債が膨らむことは事実。それを抑えるために取り組む提言と理解している。

 ▽井田佐登司議員(政翔会)=ライナックの更新中止の経緯は。
 ▽経営企画担当課長=検討委員会からも更新中止の提言があるので、それに向けて取り組む。

 ▽西川浩司議員(新風)=人員を削減する中、急性期医療と地域包括ケア病棟の強化を両立できるのか。
 ▽経営企画担当課長=地域包括ケア病棟の稼働率アップに努める。

 ▽奥藤隆裕議員(新風)=現在の赤穂市の医療水準について指標は示されたのか。「術前検査の外来での実施徹底」で何が変わるのか。
 ▽財務課長=赤穂市民病院と赤穂中央病院で重複している部分を分担、連携して市内の水準を落とさないことと解釈している。
 ▽院長=術前検査は、外来は出来高請求できるが、入院だと病名で診療報酬が決まる。全国の病院がやっている。

 ▽山野崇議員(新風)=6億円の効果額を見込む経営改善ができれば持続可能な経営が可能なのか。
 ▽財務課長=令和9年度を乗り越えれば、借金はなくならないが、継続可能と考えている。

 ▽安田哲議員(千種)=効果額と収支シミュレーションの積算根拠を提出してほしい。
 ▽財務課長=示す。

 ▽前田尚志議員(赤諒会)=病院事業開設者としての市長の決意を。
 ▽市長=5月にできる新県立病院との連携も図り、県からの支援も受けて安全安心な医療水準を守っていきたい。改善を病院でしっかりと行い、市としても税収の確保を図った上で引き続き支援していきたい。

 ▽土遠議員=術前検査の外来での実施は、市民にとっては負担増になるのでは。土曜診療の実施についての考えは。勤勉手当5%削減は労使間協定に引っかからないのか。
 ▽院長=入院の場合は患者の負担増にはならないが、外来は患者負担になるのは事実。検査項目を絞り負担を最小限にしたい。
 ▽医療課長=土日診療は費用対効果と他の医療機関とのすみわけも考えて慎重に検討する。
 ▽総務課長=勤勉手当の削減は事前協議は必要。

 ▽瓢敏雄議員(新風)=PET―CTを廃止しても中核病院や拠点病院を保てるのか。
 ▽経営企画担当課長=影響はない。

 ▽家入議員=診療科の減少や医療設備の廃止などによる収入減は見込んでいるのか。令和8年度に一時借入金が借り入れ上限の30億円を超えるがどう考えているのか。
 ▽経営企画担当課長=患者減による減収は見込んでいる。
 ▽財務課長=令和8年度に30億円を超える場合は、本館の支払いが終了する9年度を乗り切るために上限の変更をお願いするかも知れない。

 ▽家入議員=医療過誤・事故の問題も公の場できちっと話をするべきだ。
 ▽議長=会派代表者会、議会運営委員会で検討する。病院経営については特別委員会の設置も含めた検討を提言したい。本日出された意見は「市民の代弁者である議員」からの意見として、これからの病院運営、経営の改善に十分反映させてほしい。

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 主なやりとりについて一部内容を追加しました。(2022年1月28日20時00分)

(赤穂市民病院経営検討委報告書について協議した全員議員協議会)

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