赤穂民報
コラム【陣太鼓】残ったのは底の見えない疑問(4月2日)
▼赤穂市民病院の院長交替に伴う記者会見。医療事故多発が明るみになって以降、報道の直接取材に応じなかった藤井隆院長が定年退職を前にようやく姿を現した。
▼弁護士を同席させ、ほとんどの質問で「係争中」を理由に回答を差し控えた。すでに病院自ら報道発表済みの内容まで「係争中のことなので答えられない」とした発言からは説明責任を果たそうという姿勢は感じられなかった。
▼会見で新たに判明したのは、さらに3件の医療事故があったということだ。病院は合計11件のうち医療過誤は1件で、あとの10件は「合併症によるもの」「手術後に経過が思わしくなかった。明らかなミスではない」などとして医師の過失を否定している。
▼だとすれば、なぜ当該医師に手術禁止という重い処分を科したのか。あるいは、医療過誤のあった1件が手術禁止にしなければならないほどの重大な過失だったのか。ならば、その時点で手術禁止にすべきだったはずだが、実際はその後も手術を執刀し、事故が続いた。
▼関係者証言によれば、問題の医師は手術禁止処分後も手術で事故を起こしたとされる。院長としての監督責任を問うたが、「個人情報のため、回答を差し控える」との返答だった。「監督責任」は「個人情報」だろうか。
▼藤井氏は3月末で去り、後には濁った泥沼のように底が見えない疑問が残った。新体制で濁りが浄化されることを望む。
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