赤穂民報
実例踏まえ産廃処分場の環境影響学ぶ(5月19日)
産業廃棄物最終処分場による環境へのリスクを学ぼうと、「西はりまの自然をまもる会」(小河尚子会長)が学習会を主催。奈良県山添村の村会議員、奥谷和夫氏(67)が「負の遺産としての産廃の実態」と題して講演した。
山添村は三重県と境を接し、1990年代から産廃処分場が進出。複数の最終処分場や中間処理施設が立地している。奥谷氏は93年の村議初当選以降、8期にわたって務めるかたわら処分場周辺の水や大気を調べ、環境汚染の実態を明らかにしてきた。
講演で奥谷氏は、産廃処分場から約3キロ離れた場所でも悪臭に悩まされた事例や、処分場の下流域で水生生物が激減したなど実例を紹介。西有年・梨ヶ原の処分場建設計画に関与する大栄環境グループの管理型最終処分場でもかつてパイプの破断による汚染水の流出事故があり、多数の魚が死ぬなどの被害が出たと写真を示して説明した。
また、遮水シートで集めた浸出水を処理してから放流する構造とされる管理型最終処分場で周辺の水質調査を行ったところ、排水路以外の複数箇所で水質の汚れの目安となる電気伝導度が高いと判明したという。奥谷氏は「遮水シートや遮水工事は万全ではない。汚染水が漏れ出ているのではないか」との懸念を示し、「残念ながら、現在の法律では住民の暮らしや環境を守るという点では不十分な点が多い。住民の声、世論が世の中を動かす大きな力になる」と語った。
学習会は4月24日、上郡町上郡の生涯学習支援センターで開かれ、約110人が来場した。同町の梅田修作町長は西有年・梨ヶ原の最終処分場建設の賛否を問う住民投票を今夏の参院選と同時に実施すると表明している。
(産廃処分場の環境リスクについて実例を踏まえて学んだ学習会=主催者提供)
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