赤穂民報

関福大リレーコラム・活動にある学習1(5月21日)

 「学習」とは、広辞苑によると次の2つの意味が記されています。(1)まなびならうこと。(2)経験によって新しい知識・技能・態度・行動傾向・認知様式などを習得する事、およびそのための活動。

なぜ、意味が二つに分けて記されたのかを考えてみたいと思います。

 (1)は「繰り返して身に付ける」ことによる学習であり、例えば、漢字を書く練習を毎日して覚えるような学習もその一つです。

 それに対し、(2)による学習は「自己の変容」を伴なう学習であると考えます。

 昨年から関西福祉大学教育学部の学生が取り組んでいる「古民家未来プロジェクトin坂越」は(2)にあたる学習です。この活動は、空き家の現状を知り、利活用の可能性を探り、構想を立て制作し、未来の可能性を探るというものです。学習する側の学生には、思考はもちろんのこと視覚・嗅覚・触覚・聴覚などといった諸感覚をも総合的に使う経験となります。これは単なる技能習得ではなく、「自己の変容」を伴なうものです。

 しかし、実際の(2)は現実ならではの問題や、不可能な事が立ちはだかることもあり、(1)と比べるとリスクがあります。そのリスクは、時に感情を湧き上がらせ、感覚を刺激し、価値観を揺さぶるものともなります。

 (2)のようなリスクのある学習をしておくことは、これからの教育に大切な事であると考えます。現代社会で求められている「リスクマネジメント」。リスクを想定した上でどう行動するかを考えることは、リスクが必ずある現実の世界でよりよく生きるための力となるはずです。

 今回は「学習」にある2つの意味の違いについて考え、活動による学習にはリスクもあるが、そこが学びのポイントでもあることに視点をおきました。

 次回は、活動にある学習2として「キャンプ」について考えてみたいと思います。

(教育学部児童教育学科講師・金子美里)

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