赤穂民報

関福大リレーコラム・活動にある学習3〜アフォーダンス編〜(7月2日)

 今回は「アフォーダンス」について考えてみたいと思います。「アフォーダンス」を知ることで、環境は劇的に違って見えてきます。子どもが育つ環境づくりをアフォーダンスの目で見てみましょう。

 「アフォーダンス」とは、アメリカのギルフォートが考案した造語で、「ものが人間の行為を誘いだす」といった意味があります。例えば、取っ手の形を見た際に、持ち方が引き出されるといったことです。

 ボールのもつアフォーダンスを考えてみましょう。ボールは柔らかい、跳ねる、丸いなどの特徴を持っています。ボールが自分に向かって転がってきた際に両手で持って弾力を確かめ、予測した飛び方をねらって投げようとするといった経験はないでしょうか。こうした行動はボールの特性によって引き出されているのです。

 今、目の前にあるものはどのような行為を引き出すでしょうか。大人は目で形状を見て触れ方を判断していますが、乳児期はというと、手を意識的に使っていない時期なので、ものへの触れ方はいわば手あたり次第です。しかし、振ると音が鳴るオモチャ「ガラガラ」は目と手の協調を促すという意味でアフォーダンスと言えるでしょう。ガラガラが手に触れる→音が鳴る→それを見る、を繰り返すことで手を意識して使うようになっていきます。

 幼児教育コースの金子ゼミでは、幼児の発達にアプローチするために成長過程の特徴に応じた積み木の開発を行っています。どのような形状が行為を誘い出すのか、実際に積み木を制作し幼児の遊ぶ姿を観察することで幼児期にとってのアフォーダンスの可能性について考えています。また、この活動をもとにメキシコのベラクルス大学の学生さん達とも意見交換し様々なアイデアを取り入れた形状を考えていく予定です。

 アフォーダンスについて考えることは、ものの可能性を問い直すことになると考えます。そういった探究心が子どもが育つ環境づくりには必要ではないでしょうか。(教育学部児童教育学科講師・金子美里)

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