赤穂民報
【社説】認定停止を真摯に受け止め即刻対応を(9月3日)
赤穂市民病院が日本脳神経外科学会から「専門医訓練施設」の認定を停止された。
専門医になるためには、医師国家資格に合格後、2年間の初期臨床研修を経て専門の診療科へ進む「専攻医」となり、所定の研修プログラムを修了する必要がある。その研修プログラムを実施できるのが、学会が認定した「専門医訓練施設」だ。
学会は認定停止の理由として「医療安全管理体制に安全教育上の重大な懸念事項がある」「訓練施設として整備されるべき医療安全管理体制に明らかに不備が認められる」などと指摘している。平たく言えば、医療安全管理が杜撰で専攻医の研修を任せられない、ということだろう。
また、一連の医療事故について「検証」した記録として病院から提出された資料を確認した上で「議事録などの必要記録も適切ではない」「サイトビジット(現地調査)をするレベルの段階でもない」と厳しく断じ、「医療安全体制の整備や一連の医療事故の問題点総括が完了し、その対応策が確実に実行されていること」を認定再開の条件としている。つまり、いまだに医療安全体制の整備も一連の医療事故の問題点総括も完了できていないと学会から烙印を押されたことになる。
一連の医療事故をめぐっては、本来は事故発生後に速やかに開くべき医療事故調査委員会が当時の院長判断によって設置されず、約2年以上が経過してようやく今年2月24日と3月11日に開かれた。学会から情報提供を求められた昨年12月から検証を始めたとしても時間は十分あったはず。にもかかわらず学会が求める水準に達していない記録しか出せずに認定停止を招いた失態の責任は誰が取るのだろうか。
学会は認定再開を検討する方法として、「関連する資料(インシデント・アクシデントの報告件数の推移や、事故調査委員会の開催実績など)の提出、必要に応じてヒアリング等で検討する」と赤穂民報の取材に回答した。医療事故隠しや形だけの事故調が行われていないかチェックした上で判断するものとみられる。
もし、このまま専門医訓練施設を外れた状態が続けば、「指導医を置く必要がない」として大学医局が医師の派遣を引き揚げ、診療科の縮小や廃止に至る恐れもないとはいえない。そのような事態を招かないよう、赤穂市民病院は学会の措置を真摯に重く受け止め、今度こそ正面から「問題点の総括」と「対応策の実行」に即刻取り組むべきだ。
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